フォルクスワーゲンは5月19日、現在開発を進めている次期『マルチバン』(Volkswagen Multivan)に、プラグインハイブリッド車(PHV)の「eHybrid」を設定すると発表した。
フォルクスワーゲングループの電動化戦略の一環
フォルクスワーゲンは1985年9月、ドイツ・フランクフルトで開催されたIAA国際モーターショー(商用車)において、商用バンの『T3』をベースにした乗用バージョン、初代マルチバンを発表した。
以来、『T4』、『T5』、現行の『T6』をベースにした乗用ミニバンとして、マルチバンが設定されてきた。2019年には、現行のマルチバンが大幅改良を受け、「マルチバン6.1」にアップデートされている。
フォルクスワーゲングループは2030年までに、グループ全体で約70車種の新型EVと約60車種の新型ハイブリッド車を、市場に投入する予定だ。これにより、2030年までに生産する電動車両は、およそ2600万台に増加する見通し。2600万台の内訳は、EVがおよそ1900万台、ハイブリッド車がおよそ700万台になる。
「eモード」でゼロエミッション発進
フォルクスワーゲングループのこの戦略に従い、次期マルチバンに、歴代初のPHVをラインナップする。次期『マルチバンeHybrid』のPHVパワートレインは、ターボチャージャー付きの直噴ガソリンエンジン「TSI」に、電気モーターを組み合わせる。フォルクスワーゲンによると、持続可能性とミニバンに求められる総合的な品質を、理想的に融合させた次期マルチバンに最適なパワートレインになるという。
次期マルチバンeHybridでは、スタートボタンを押し、デュアルクラッチギアボックスの「DSG」を「D」にシフトし、アクセルを踏み込むと、フロントアクスルにモーターのパワーが伝達されて、静かに発進する。次期マルチバンeHybridは、基本的に「eモード」でゼロエミッション発進する。
eモードの航続は、1日の通勤距離をゼロエミッションでカバーできるように設定されている。高速走行時やバッテリー残量が少ない場合は、ターボチャージャー付きガソリンエンジンが始動する。
リチウムイオンバッテリーは床下に搭載
最大7名が乗車できる次期マルチバンの場合、部分的にゼロエミッション走行できるPHVは、理想的なドライブシステム、と自負する。公共充電ステーションへの立ち寄りの機会を最小限に抑え、休日にはロングドライブに対応する能力を備えている。ロングドライブでは、強力なハイブリッドドライブのメリットを享受できるという。
二次電池はリチウムイオンバッテリーで、次期マルチバンeHybridのアンダーボディにレイアウトされる。これにより、スペースが節約されると同時に、重心が低くなり、取り扱いにプラスの効果をもたらすという。次期マルチバンeHybridのバッテリーは、フロントフェンダー右側のソケットから充電できる。
フォルクスワーゲンは、公共の充電ステーションで次期マルチバンeHybridを充電するために、独自の充電カードや、自宅で充電するためのウォールボックスを販売する。歴代のどのマルチバンよりも、効率的かつ持続的という。なお、次期マルチバンは2021年の後半に、PHVなどさまざまなパワートレインを用意して、欧州市場で発売する予定、としている。