DIATONE SOUND.NAVI に搭載されている「マルチウェイ・タイムアライメント」って、何?---詳細解説

カーオーディオでは「タイムアライメント」という機能が大活躍する。ゆえにさまざまな機器に当機能が搭載されているのだが、三菱電機の『DIATONE SOUND.NAVI』に装備されているそれは、他とはひと味違っている。

一体何が違い、それゆえにどんな利点を発揮するのか、そのすべてを解き明かす。

クルマの中でステレオ再生を満喫するためには、「タイムアライメント」が必要?

最初に、一般的な「タイムアライメント」がどのような機能なのかを説明しておこう。ひと言で言うと、「各スピーカーが発する音の到達タイミングを揃える機能」だ。

このような機能が必要となる理由は以下のとおりだ。ステレオとは、音楽を左右のchに分けて録音しそれを左右のスピーカーで再生することで音像を立体的に再現しようとするものなのだが、その効果を十分に得るためには左右のスピーカーから等距離の場所に身を置く必要がある。なおホームオーディオではそのようなリスニングポジションを容易に取れるが、クルマの中ではそうはいかない。着席位置が、左右のどちらかに片寄るからだ。しかもドアスピーカーとツイーターにも距離差があるので、一層ステレオ効果が得られにくい。

しかし「タイムアライメント」機能を活用すれば、すべてのスピーカーから等距離の場所にいるかのような状況を擬似的に作り出せる。各スピーカーの発音タイミングを変えられるからだ。近くにあるスピーカーほど発音タイミングを遅らせて、すべての音が同時に耳に入ってくるように設定できる。

ただし、当機能を緻密に運用しようとするとシステムが大掛かりになる。使用しているスピーカーがセパレート2ウェイなら、その左右のツイーターと左右のミッドウーファーのそれぞれを個別にコントロールした方がより良く、そうしようとするとパワーアンプのch数もスピーカーと同数(4ch)が必要になる。各スピーカー用の信号に個別に「タイムアライメント」を設定した以降は、各信号を別回線で伝送しなければならなくなるからだ。

『DIATONE SOUND.NAVI』なら、個別制御したツイーター用の信号とミッドウーファー用の信号を同一回線で伝送可能!

ところがなんと、『DIATONE SOUND.NAVI』に搭載されている「マルチウェイ・タイムアライメント」では、ツイーターとミッドウーファーに対して個別に「タイムアライメント」をかけても、その信号を同一回線で伝送できる。ここが一般的な「タイムアライメント」との大きな違いだ。このような芸当が可能なのは、他を見渡しても『DIATONE SOUND.NAVI』だけだ。

それがどのようなことなのかを詳細に説明しよう。「マルチウェイ・タイムアライメント」を使用する際の音楽信号の伝送過程は以下のようになる。

使用しているスピーカーがセパレート2ウェイのとき、音楽信号はまず『DIATONE SOUND.NAVI』に内蔵されているプロセッサー内で、ツイーターに送り込むための高域信号とミッドウーファーに送り込むための中低域信号とに帯域分割される。その上で、各信号の発音タイミングを変化させる処理が行われる(タイムアライメントがかけられる)。

で、その後にはツイーター用の信号とミッドウーファー用の信号とが同一回線にて内蔵パワーアンプへと送り込まれる。そして右chの信号は内蔵パワーアンプのフロント用のRchで、左chの信号はフロント用のLchで増幅されその後、左右のスピーカーの前段に設定されている「パッシブクロスオーバーネットワーク」へと入力される。そうしてその中でまた改めて帯域分割が行われ、高域の信号と中低域の信号がそれぞれプロセッサー内で処理されたとおりのタイミングで発音されることとなる(下図参照)。

『DIATONE SOUND.NAVI』の「マルチウェイ・タイムアライメント」の原理。

さて、このような仕組みであるがゆえに『DIATONE SOUND.NAVI』では、通常の「タイムアライメント」では行えないことが可能になる。それは何なのかと言うと…。

『DIATONE SOUND.NAVI』なら、「ナビを換えただけ」で音が良くなる!

『DIATONE SOUND.NAVI』でしか行えないこととは、主には3つある。

1つ目は、「ナビを換えただけでフロントスピーカーのマルチ制御が行える」というものだ。「タイムアライメント」が搭載されている一般的なメインユニットでは、純正スピーカーのツイーターとミッドウーファーとを個別に制御しようとすると、スピーカーケーブルの引き直しが必要となる。純正ケーブルはツイーターとミッドウーファーが配線を共有しているからだ。しかし『DIATONE SOUND.NAVI』を使っている場合は、ケーブルはそのままでもOKだ。配線を換えることなくツイーターとミッドウーファーの緻密な制御(マルチ制御)が行える。結果、フロント2ウェイスピーカーをより良いコンディションで鳴らせる。「ナビを換えただけ」で、本格システムでしか行えないようなスピーカーコントロールが可能となるのだ。

そして『DIATONE SOUND.NAVI』でしか行えないことの2つ目は、「外部パワーアンプの導入予算が少なくて済む、または、より良いモデルを調達できる」というものだ。

具体的に説明しよう。普通、ツイーターとミッドウーファーの個別制御をしようとするときには4chパワーアンプが必要となるが、『DIATONE SOUND.NAVI』では2chパワーアンプがあれば良い。なので例えば、普通のメインユニットのユーザーが10万円の4chパワーアンプを購入したとして、『DIATONE SOUND.NAVI』でシステムを組む場合には、5万円の2chパワーアンプを買えばそれと同等の性能のパワーアンプを導入できる。

または10万円の予算があるならそのすべてを投入すれば、より高性能な2chパワーアンプを手にできる。5万円の2chパワーアンプと比べて2倍の価格のモデルが買えるのだから、性能も相応に高くなる。

『DIATONE SOUND.NAVI』なら、スペシャルなサウンド制御術も実践可能に!

そして『DIATONE SOUND.NAVI』でしか行えないことの3つ目は、「“仮想2ウェイ”調整または“仮想3ウェイ”調整が行える」というものだ。

これらがどのようなコントロール法なのかを説明していこう。まずは“仮想2ウェイ”から。これは、フロントスピーカーがフルレンジタイプであった場合に機能する。スピーカーがフルレンジタイプの場合は普通、信号の帯域分割を行う必要はないわけだが、『DIATONE SOUND.NAVI』なら高域と中低域とに分割しあたかもツイーターがあるかのように扱える。そうするとなんと、音場を持ち上げられる。フルレンジスピーカーで音楽を鳴らす場合は音が足元に溜まりがちとなるが、それへの対処が可能となるのだ。

そして“仮想3ウェイ”では、2ウェイスピーカーをあたかも3ウェイであるかのようにコントロールできる。実は2ウェイではミッドウーファーが広い帯域の再生を担当するがゆえに以下のような問題が引き起こされるのだが、「マルチウェイ・タイムアライメント」ではそれへの対処が可能となる。

中音は割と指向性が強く(真っ直ぐ進もうとする性質が強く)、低音は指向性が弱い。そしてミッドウーファーは、ドライバーから見たときの角度の付き方が左右で異なっている。結果、ドライバーから見て角度が付いている運転席側のドアスピーカーから放たれる音は中音の音量が弱めになり、より正対している状態に近い助手席側のドアスピーカーから放たれる音は、中音と低音がよりバランス良く耳に入る。結果、中音と低音との音圧レベルが整わない(下図のような状態となる)。

各スピーカーから出る音圧レベルが整わない状態。

しかし“仮想3ウェイ”調整にて中音と低音とを個別に制御すると、帯域間で異なる音量バランスを整えられる(下図参照)。

すべてのスピーカーの音圧レベルが整った状態。
このように「マルチウェイ・タイムアライメント」は、通常の「タイムアライメント」と比べてできることが多くなる。ゆえに、構築可能なシステムレイアウトのパターンも増える。つまり、楽しみ方の幅が広がる。

いかがだっただろうか。より深くカーオーディオを楽しめるハイエンドメインユニットが欲しいと思ったら、『DIATONE SOUND.NAVI』は選択肢の筆頭に浮上する。覚えておこう。

《太田祥三》

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