札幌市電の延伸、現時点で黒字化は困難…融雪対策の整備やランニングコストなどがネックに 3月25日の札幌市長会見

2015年12月、西4丁目~狸小路~すすきの間の開業前日に開催された出発式。秋元札幌市長(左から5人目)らがテープを切った。
  • 2015年12月、西4丁目~狸小路~すすきの間の開業前日に開催された出発式。秋元札幌市長(左から5人目)らがテープを切った。
  • 1970年頃の札幌市電路線図。黒線が現行路線、赤線と紫線が廃止路線。上部が北となる。札幌市は延伸の具体的なルートを示していないが、札幌駅前、苗穂駅前、桑園方面(中央市場通方向)が候補に選ばれている。ちなみに1960年までは国鉄桑園駅前まで市電が延びていた。
  • 札幌市電の1日あたり平均乗車人員。ループ化が実現した後の2016年度には上昇するも、2017年度は微減となっている。ただ、赤字傾向は続いており、2020年4月から札幌市交通事業振興公社が運行を担う上下分離方式が導入されている。

札幌市の秋元克広市長は3月25日に開かれた定例市長会見で、札幌市電の延伸について記者の質問に答えた。

札幌市は、札幌市電の延伸を視野に路面電車をまちづくりに活用するべく、2010年に「札幌市路面電車活用方針」を、2012年4月に「札幌市路面電車活用計画」を策定し、2015年12月には、中央区内の西4丁目~狸小路~すすきの間がサイドリザベーション方式で開業。42年ぶりに環状運行が復活したが、利用者の増加に繋がったこともあり、中央区内の札幌駅前方面と桑園方面、東区内の苗穂方面への延伸についても、本格的検討を始めていた。

これについて秋元市長は、実現へ向けたシミュレーションや国などを交えた勉強会を行なってきたものの、融雪対策に必要なロードヒーティング化に伴なう整備費用やランニングコストなどを考慮すると、現時点で黒字化を見通せないとして、延伸に難色を示した。

営業損失が継続している札幌市電では、収支採算性を確保することが求められるとされていることから、今後も引き続き黒字化へ向けた検討を進めるとしており、2022年度中には延伸の可否を決定するという報道が流れている。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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