アウディ(Audi)は3月8日、路面の凍結や滑りやすい状態について、ほぼリアルタイムでドライバーに警告するシステムを実用化すると発表した。
このシステムは、「car-to-X」サービスの「Local Hazard Information」(LHI)に、高精度のデータを活用することで可能になるもの。車両のホイールスリップに基づいて、摩擦係数を計算するために、「car-to-cloud」を使用する。このテクノロジーは、路面のわずかな変化を検出し、データをクラウドにアップロードして処理することにより、道路の凍結や滑りやすい状態について、ほぼリアルタイムでドライバーに警告することが可能になるという。
タイヤと路面との間の摩擦係数を計算するために、ホイール速度や加速度値などのシャシー信号を使用する。センサーデータは、車両とクラウドに送信される時点で匿名化される。多くの車両からのデータが、現在と過去の気象情報などのメタデータと組み合わされ、クラウドによってサービスプロバイダーの「HERE」に送信される。 HEREのロケーションプラットフォームと組み合わせられたデータは、道路網を正確な3次元モデルとして表す。
このサーバーは、路面状態の悪いエリアを走行、または路面状態の悪いエリアに向かっている車に、警告情報を送信する。アウディ「バーチャルコックピット」やオプションのヘッドアップディスプレイに警告が表示される。
データを配信する車両の数が多いほど、システムは地図をより適切に学習、分析、作成でき、ドライバーに通知や警告が行える。2021年には、欧州のフォルクスワーゲングループの170万台以上の車両が、この危険情報サービスにデータを提供する。これは2022年には300万台以上に増加する見通し。このサービスは、アウディ、フォルクスワーゲン、セアト、シュコダ、ポルシェ、ベントレー、ランボルギーニの新モデルで利用できるようになる。
このデータに基づいた摩擦係数マップを利用することで、例えば、リアルタイムで除雪サービスを最適化し、道路に撒く塩の量を減らすことで、環境への影響を抑えることが可能になる。また、先進運転支援システム(ADAS)は、あらかじめ滑りやすい路面に備えることができるようになる。さらに、ナビゲーションシステムのルート案内では、路面の状態を考慮して、到着予定時刻をより正確に計算できる。ホイールスリップを制御することで、タイヤの性能レベルだけでなく摩耗レベルを検出するなど、タイヤメンテナンスサービスの開発も可能にする、としている。