CASE車両はタッチ操作より音声操作が有効…オートモーティブワールド2021

ルネサスのクラスタ―システムディスプレイ部
  • ルネサスのクラスタ―システムディスプレイ部
  • リップシンクによるアバターのアニメーション
  • ドライバーモニタリングシステムの試作:
  • CRI・ミドルウェア(オートモーティブワールド)
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自動運転やコネクテッドカーに欠かせない技術のひとつに音声インターフェイスがある。音声認識、音声合成によりクルマの操作は、CASE車両においてはおそらく必須になる。

現在、CASE車両のコックピットは大画面のマルチファンクションディスプレイの採用が広がっている。連動して操作インターフェイスがボタンやレバーからタッチパネルに移行しつつある。しかしタッチパネルはクルマの運転という場面では、ユーザーインターフェイスとして課題が多い。車両がスマホ化するというが、スマホ風な操作ができるようになることを言っているのではない。

タッチ操作は、画面を凝視して正確な場所を触る必要があるが、運転中に平面な画面を手探りで探すわけにはいかない。指を添えることもできず、どう考えてもタッチインターフェイスは安全面で最悪だ。

解決アプローチは2通りある。基本設定をプリセットでカスタマイズできるようにし、そのあとの操作をなるべく自動化する。走行中はヘッドライトもワイパーも操作が必要ないように制御する。もうひとつは音声操作だ。

音声インターフェイスは、指示や入力だけでなく車両側からの出力情報としても重要だ。レベル3自動運転で制御を車両からドライバーに引き渡すとき、ADASが警報を出したり、モードを切り替えるとき。ディスプレイやライトで知らせる機構は多いが、ユニバーサルデザインとは言い難く、ブザーや警告音の違いだけで車両状況を伝えるのに限界がある。一言「ぶつかります」「前を見てください」と言ってくれたほうがいい。

今後増えるシェアリングカーなどでも同様だ。解錠・施錠の手続きなどサービスによってまちまちだ。いちいちサイトにアクセスしたりメールを読むのではなく、その場でクルマが案内してくれればいい。盗難やいたずら防止にもなる。

CRI・ミドルウェアは、もともとゲームの音声処理技術を手掛けていた会社だ。音声インターフェイスの広がりとともに、車載機器へも進出している。ルネサスのR-Car E3(メータークラスタシステムボード)とPUXのドライバーズモニタリングシステム(DMS)と、同社の音声処理ミドルウェア(ADX Automotive)を組み合わせたデモ機を試作展示していた。

カメラがドライバーの状態を監視し、音声とメータークラスタによって警告を与える。応用すれば、クルマの操作をディスプレイ上のアバターと対話式に行うこともできる。すでに、現在の車両でもセンターコンソールのボタン、スクリーン。ステアリングのボタンやジョグダイヤル、コラムレバー類と操作系が分散し、メーターのマルチファンクション化(メーターのモード切替が必須となる)によって、自分のクルマなのに(操作方法がわからなくなることがある(オートハイビームの解除はどうする? このランプの意味は?)。

SFではなく、車両エージェントはもはや必須といってよい。なお、CRI・ミドルウェアでは、警告音用の安価な圧電ブザーをスピーカーとしてしゃべらせるDA変換ドライバも持っている。また、ゲーム技術の応用で、音声入力式の「リップシンク」ミドルウェアも商品化している。画像認識による唇のアニメーションではなく、実際の音声から唇の動きを再現する。音圧や声の調子によって口の動きを連動させることもできる。VTuberやCG映画では必須の技術だが、車載エージェントのアバターにも応用可能だ。

《中尾真二》

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