この時、5位を走行していた#14 WAKO'S 4CR GR Supra(大嶋和也/坪井翔)は22周目にピットストップを行いタイヤ無交換作戦を敢行。翌周、トップの#37 KeePer TOM'S GR Supraがピットストップを行い、タイヤ交換も行ってコースに戻ると#14 WAKO'S 4CR GR Supraが一気に背後に迫りオーバーテイクを決めた。しかしタイヤが温まると#37 KeePer TOM'S GR Supraのペースが上がり、27周目には#14 WAKO'S 4CR GR Supraをオーバーテイク。再びトップに返り咲いた。
7番手スタートから3位まで順位を上げていた#100 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)と4位の#36 au TOM'S GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ)は、30周目に#14 WAKO'S 4CR GR Supraに追いつき三つ巴の2位争いとなった。
まずは#36 au TOM'S GR Supraが#100 RAYBRIG NSX-GTをストレートで抜き、31周目の1コーナーで#14 WAKO'S 4CR GR Supraに襲いかかった。2台が絡み合うように1コーナーをたちががる中、そのすきを突いて#100 RAYBRIG NSX-GTが一気に2台抜きで2位に浮上。続いて#14 WAKO'S 4CR GR Supraを抜いた#36 au TOM'S GR Supraと、ここから激しい2位争いが始まった。
しかし40周を過ぎた辺りから#100 RAYBRIG NSX-GTがスパート、#36 au TOM'S GR Supraを置き去りにし、16秒先を走るトップの#37 KeePer TOM'S GR Supraを追い始めた。1周1秒以上速いペースで走る#100 RAYBRIG NSX-GTはどんどん差を詰め、48周目には、その差は5秒を切ってきた。残り7周、充分追いつく計算だ。しかし#37 KeePer TOM'S GR Supraもペースを上げ、ここからはなかなか差が縮まらない。そして2.7秒の差を残してファイナルラップに突入した。
充分な差を保ったまま最終コーナーを立ち上がる#37 KeePer TOM'S GR Supra。誰もが優勝、そしてチャンピオン獲得を確信した瞬間だった。ところが#37 KeePer TOM'S GR Supraは加速しない。ガス欠だ。残り数百メートル、レーシング速度で走る#100 RAYBRIG NSX-GTはスロー走行する#37 KeePer TOM'S GR Supraを抜き去りトップチェッカー。今季初優勝を決めるとともに、2020年シーズンのドライバー、チームともにチャンピオンを獲得した。山本は2018年に続き2度目、牧野はフル参戦2シーズン目での初タイトルとなった。
2位はスローダウンしながらも何とかゴールラインまで走ることができた#37 KeePer TOM'S GR Supra。これによりチームとレギュラードライバーの平川はランキング2位でシーズンを終えた。3位は#36 au TOM'S GR Supra。以下、#17 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/ベルトラン・バゲット)、#8 ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺)、#3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平/千代勝正)と続いた。
GT300クラスは7チームのドライバーがチャンピオン獲得の可能性を持って最終戦を迎えた。
レース序盤はポールポジションの#52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)と2番手スタートの#61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)によるトップ争いが繰り広げられたが、ピットストップで#61 SUBARU BRZ R&D SPORTが後退。#52 埼玉トヨペットGB GR Supra GTは後続に大きな差をつけて、その座を脅かされることなく独走で優勝した。
注目されたのはチャンピオン争い。ランキングトップの#56 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)は50周目、4位を走行しており、5ポイント差の#65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟)が2位を走行していた。このままゴールすると、#65 LEON PYRAMID AMGが66ポイント、#56 リアライズ 日産自動車大学校 GT-Rが64ポイントで#65 LEON PYRAMID AMGがチャンピオンとなる。
しかし53周目、#56 リアライズ 日産自動車大学校 GT-Rが3位に浮上し、これでランキングが逆転。さらには直接の対決相手#65 LEON PYRAMID AMGを54周目に抜いて2位浮上。堂々の走りで見事ドライバー、チームともにチャンピオンに輝いた。近藤監督が不在の中での厳しい戦いだったが、見事チームに初タイトルをもたらした。