ベントレーの名車1929年式『ブロワー』、設計図のデジタル化が完了…2021年に復刻生産へ

ティム・バーキン卿のスピードへの追求心から誕生

実車を分解して部品を3Dスキャナーで測定しデジタル化

4.4リットルスーパーチャージャーは最大出力240hp

ベントレー・ブロワー のデジタル設計図
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  • ベントレー・ブロワー のオリジナルモデル
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ベントレーは4月16日、1929年式『ブロワー』(Bentley Blower)の復刻生産にあたり、エンジニアがテレワークによって同車の設計図のデジタル化を完了した、と発表した。

数々の歴史的名車を生み出してきたベントレーの名車の中でも屈指の1台とされるのが、1929年にティム・バーキン卿の依頼によって製造されたベントレーブロワーだ。

ティム・バーキン卿のスピードへの追求心から誕生

ブロワーは、当時活躍したレーシングドライバーであり、ベントレーボーイでもあったティム・バーキン卿のスピードへのあくなき追求心から誕生した。W.O. ベントレーは、排気量を3リッターから4 1/2リットル、6 1/2リットルへと引き上げることで、スピードアップを図った。バーキン卿が注目したのは、英国のエンジニアであったアムハースト・ヴィリヤースの設計によるルーツ式スーパーチャージャーだ。このスーパーチャージャーを搭載することによって、レース用チューニングを施した4 1/2エンジンの出力が、130hpから240 hpに向上している。

1920年代後半、バーキン卿のレースチームのために製造されたオリジナルのブロワーは4台のみだった。4台とも欧州各地のサーキットで活躍したが、最も名を馳せたのはバーキン卿自身がステアリングホイールを握った2号車だ。この2号車は1930年のルマン24時間耐久レースに参戦し、ベントレーワークスチームの『スピードシックス』優勝の立役者となった。ベントレー・ブロワー のオリジナルモデル

実車を分解して部品を3Dスキャナーで測定しデジタル化

ベントレーは、スーパーチャージャー付き4 1/2リットル搭載のブロワーを、12台限定で復刻生産する。この復刻モデルは、ベントレーのビスポークとコーチワークを担う部門、マリナーのスペシャリストらによって、一台一台ハンドクラフトされる予定だ。戦前のレーシングカーを忠実に再現したモデルが、「継続」の意を込めた「コンティニュエーションシリーズ」として登場するのは、これが初めてとなる。

ベントレーは、この1929年式ブロワーをベースに、何世代も受け継がれてきた職人技と最新デジタル技術を組み合わせ、12台を忠実に復刻する計画だ。ベントレーは、『ブロワー・コンティニュエーションシリーズ』の開発にあたって、ベントレーが所有するブロワーのシャシー番号「HB 3403」を分解し、各パーツを一覧にまとめ、細心の注意を払って3Dスキャナーで測定し、完璧なデジタルモデルを作成した。

ベントレーブロワーは慎重に解体され、精密なレーザースキャンと測定を組み合わせることにより、デジタルの世界で再現された。完成したCADモデルは、70個のアセンブリにまたがる630個のコンポーネントで構成され、サイズは2GB以上だ。

2人の専任CADエンジニアが、スキャンデータと測定値からデジタルモデルを完成させるのに、1200時間を要した。エンジニアは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の危機時に、テレワークで作業しながら、デジタルモデルを完成させた。

このCADモデルは、12台の顧客の車の仕様を決めることを支援することもできる。ベントレーの設計チームは、データから正確なフルカラーレンダリングを製作した。これにより顧客は、内外装の色や素材を、自分好みに仕上げることができるという。ベントレー・ブロワー のデジタル設計図

4.4リットルスーパーチャージャーは最大出力240hp

今後、オリジナルモデル製造時に使用された1920年代の金型と治具、伝統的な工具に加え、最新の製造技術を使用して12台分のパーツを製作する。そのパーツをベントレーの熟練工らが組み立て、新しいブロワーが誕生する予定だ。12台の復刻モデルは、メカニカルな面もルックスの面も、そしてオリジナルが持つスピリットも、可能な限り当時のままを引き継ぐ。安全性に関してのみ、目立たない部分でわずかに現代のシーンに合わせた変更が加えられるという。

その後、分解されたオリジナルモデルは名車担当チームによって詳細に点検され、必要に応じて丁寧にメンテナンスをされた上で、元の姿に戻される。誕生から90年を迎えるオリジナルモデルは、今も現役で公道を走行している。

オリジナルのブロワーの復刻版となるコンティニュエーションシリーズの各車には、4気筒16バルブエンジン、アルミ製クランクケース、鋳鉄製シリンダーライナー、取り外し不可能な鋳鉄製シリンダーヘッドが装備される。スーパーチャージャーは、アムハースト・ヴィリヤース製ルーツ式スーパーチャージャーの精巧なレプリカとなる。このスーパーチャージャーのおかげで4398ccエンジンの出力が向上し、4200rpmで240hpを発生する。車体構造には、プレススチールフレームと半楕円形のリーフスプリング式サスペンション、ベントレー& Draper製ダンパーのコピーが採用される。さらに、ベントレーPerrot製の400mmのメカニカルドラムブレーキ、ウォーム&セクターステアリングを再現し、シャシーが完成する予定だ。

なお、マリナーの緻密な作業により、12台のコンティニュエーションシリーズが完成するのは2021年になる見通しだ。

《森脇稔》

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