【INDYCAR 第15戦】佐藤琢磨、一時はラップダウンの状況から今季2勝目…様々な意味で価値ある“逆転優勝”

インディカーでの通算5勝目(今季2勝目)をあげた#30 佐藤琢磨。
  • インディカーでの通算5勝目(今季2勝目)をあげた#30 佐藤琢磨。
  • 優勝を飾った#30 佐藤琢磨。
  • 優勝を飾った#30 佐藤琢磨。
  • 勝利を喜ぶ佐藤琢磨と陣営の人々。
  • 勝利を喜ぶ佐藤琢磨と陣営の人々。
  • (選手3人は左から)2位カーペンター、優勝の琢磨、3位カナーン。
  • ゲートウェイのナイトレースが琢磨の今季2勝目の舞台に。
  • シリーズリーダーの#2 ニューガーデンはポールポジションを獲得するも、決勝は7位。しかしランク首位をキープして残り2戦へ。

現地24日に決勝レースが実施されたインディカー・シリーズ第15戦。佐藤琢磨にとっては、様々な意味で“逆転”要素の大きな今季2勝目であった。

3連戦日程の真ん中に位置する第15戦は、米イリノイ州マディソンのショートオーバル「ゲートウェイ」が舞台のナイトレース。今季最後のオーバル戦の予選ではシリーズリーダーのジョセフ・ニューガーデン(#2 Team Penske/シボレー)がポールポジションを獲得し、佐藤琢磨(#30 Rahal Letterman Lanigan Racing/ホンダ)も5位と好位置につけた。

だが#30 琢磨は決勝のスタートで遅れ、中団まで下がる。さらにはその後、1周が短いコースということもあり、展開のなかで一時は周回遅れでコース上の最下位(当時20番手)という場面もあった。

しかしレース中盤のフルコースイエローコーションのタイミングが#30 琢磨に味方し、そこからは速さも発揮して上昇。戦略もうまく機能して流れを引き寄せつつ、248周レースの188周目にトップとなり、そのままその座を守って走行を続け、最後は2番手に上がってきたエド・カーペンター(#20 Ed Carpenter Racing/シボレー)の猛追を振り切って優勝した。今季2勝目、インディカーでのキャリア通算5勝目である。

#30 佐藤琢磨のコメント
「作戦を駆使して戦った我々に、運が味方してくれたのは確かです。しかし、同時に我々が今晩とても速かったことも事実です。今日のレースでは2度、ポジションを大きく落とすシーンがありました。トラフィックの処置が難しいレースだったからです。それでも、我々は優勝を勝ち取りました。Rahal Letterman Lanigan Racingというチームに深く感謝します。信じられないほど素晴らしいチームです」

「今日のレースでポイントとなったのは、最後のピットストップの前のスティントでした。とても速いペースを保ったままスティントを終えることができ、最後のピット作業を行なった後もトップを保ち続けることができました。自分がトップを守ったと知ったときは、本当に興奮しました」

#30 琢磨にとっては、ある意味では逆風のなかで迎えたレースともいえた。先週の第14戦ポコノ、1周目の多重クラッシュの原因を琢磨だとする声が一部であがり、それに対しての琢磨の見解や主張がいわゆる炎上を呼ぶような状況が当地ではあったという。そんななかでも琢磨を支えたのが彼のチームであり、そこへの感謝も上記の「信じられないほど素晴らしいチームです」というコメントに滲み出ている。

結果で雑音を封じる、というと少々乱暴で、決して琢磨や彼の陣営の本意ではないだろう。だが、今回の勝利はおそらくそういう効果も有するはずだ。少なくとも、嫌な空気を払いのける意味で大きい一勝だったことは間違いない。レース展開のみならず、大局的な意味でも“逆転”の勝利であった。その価値もまた、様々な意味で高い。

琢磨の勝利は今季第3戦以来で、年間複数勝利は初めて。昨年の終盤ポートランド戦で通算3勝目をあげてから約一年の期間で3勝していることになり、以前にはなかったコンスタントさが光る。42歳、参戦10年目の“ベテラン力”がその源泉か。今季シリーズランキングでも今回の勝利で2ポジションアップ、6位となった。残り2戦、自己最高更新となる7位以上の確保はもちろんとして、トップ5入りを目指してほしいところだ。現在の5位ウィル・パワー(#12 Team Penske/シボレー)とは34点差、逆転可能な差である(416対382)。

今回の決勝2位は#20 カーペンター、3位にはトニー・カナーン(#14 A.J.Foyt Enterprises/シボレー)が入った。4位は今季が初のフル参戦となるサンティノ・フェルッチ(#19 Dale Coyne Racing/ホンダ)で、このレース最多97周のトップランという健闘ぶりだった。

そして実質的にチャンピオン争いを演じているシリーズ上位4人、“4強”のポイント状況は今回のゲートウェイ戦を終えた段階で以下のような形勢へと変化している。

563点 ジョセフ・ニューガーデン(#2 Team Penske/シボレー=今回7位)
525点 シモン・パジェノー(#22 Team Penske/シボレー=今回5位)
517点 アレクサンダー・ロッシ(#27 Andretti Autosport/ホンダ=今回13位)
493点 スコット・ディクソン(#9 Chip Ganassi Racing/ホンダ=今回20位)

#22 パジェノーが#27 ロッシを抜いてランキング2位に上がっている。残りは2戦、最終戦がダブルポイント(優勝100点)になるが、今回マシントラブルと見られる状況に見舞われて20位に終わった#9 ディクソンの2連覇と通算6冠目獲得はちょっと難しくなってきたかもしれない。

#2 ニューガーデンは今回、終了直前のスピンで5位から7位へと下がってのゴールにはなったが、38点という一定のリードを持ってランキング首位のまま終盤2戦に向かう。#2 ニューガーデンと#22 パジェノーは2冠目を、そして#27 ロッシは初戴冠を狙っての戦いだ。

“ラスト前”となる次戦第16戦はオレゴン州の「ポートランド・インターナショナル・レースウェイ」にて、現地9月1日決勝の日程で開催される。昨年のポートランド戦で勝っている琢磨にとっては“2連覇”と、2連勝での今季3勝目、これらがかかる期待多き一戦となる。

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《遠藤俊幸》

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