いま、プラレールがリアルの鉄道現場にどんどん進出している。西武秩父駅にプラレールの青いレールがリアルな線路に再現されたり、京成立石駅にはプラレール改札が出現したり……。このプラレール実物大化のトレンドは、いったいなんだ?
プラレールのメーカー、タカラトミーの本社最寄駅である京成立石駅(東京都葛飾区)には、「プラレールがリアルな改札口をつくりとこうなる」と思わせる自動改札機が出現。フロアには巨大なプラレールの青いレールが描かれ、身長10センチほどに小さくなって、プラレールの世界に入り込んだような雰囲気が体験できる。
また京成立石駅の列車接近メロディをプラレール公式ソングのひとつ「のりものGOGOパラダイス」に、構内アナウンスの一部をプラレールのキャラクター「てっちゃん」のボイスに変更し、プラレール没入感をさらに感じる演出も。なぜ、こうしたリアル鉄道現場とプラレールがコラボレーションした空間が、次々と出現するのか。タカラトミー・プラレールマーケティング部の竹内俊介部長と平林思問課長に聞いた。
「プラレールを好きになるきっかけは、実際に乗ってみた電車と同じ電車をプラレールで買ってみたという人が圧倒的に多い。子どもたちにとって電車は、会いに行くキャラクターという存在。だから、その鉄道の現場にプラレールの世界観をつくりあげることで、リアルな鉄道とプラレールを同時に体験してもらうことで、その鉄道や電車もプラレールもいっそう夢中になってもらおうと」
そんな思いを具現化させたのが、ここ「けいせいたていしプラレール駅」。このエリアに新設された京成線路線図もそう。プラレールの青いレールを使って京成線の路線図が描かれている。これもリアルとプラレールのコラボレーションのひとつだ。
「かつての大量輸送というイメージの鉄道から、乗り鉄といわれるような、『電車に乗る』こと自体が楽しいってことを、いまの子どもたちは知っている。交通系ICカードでピッてやって電車に気軽に乗れる時代に、リアルな電車を体験しながら、うちに帰ってプラレールでその疑似体験するというトレンドを感じる」
いっぽうで、鉄道会社からもプラレールとコラボレーションしたいという声も増えてきたという。
「プラレールの持つファミリー認知率90%超という数字に、鉄道会社も注目し始めた。鉄道側は、親子でファミリーで鉄道に乗ってほしいと思っている。通勤定期収入以外の伸びしろとして、ファミリーの鉄道利用のきっかけづくりを探っている」
ことし誕生60年をむかえるプラレール。子どもたちの趣味や興味も多様化するなか、プラレールがこれだけ親しまれているのはなぜか。そのヒントについて「鉄道が最も身近にある乗り物だから」と竹内部長・平林課長は教えてくれた。
近所の路線に愛着があれば、新幹線や高速列車への憧れもある。愛着や憧れの的を、プラレールで疑似体験するというトレンドは、ますます加速しそうな気配。