クリーンディーゼル車の先駆け、アルファ ロメオが放つ最新ディーゼルの“らしさ”とは

アルファ ロメオ ジュリア 2.2ターボディーゼル スーパー
  • アルファ ロメオ ジュリア 2.2ターボディーゼル スーパー
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  • コモンレール式クリーンディーゼルエンジン「JTD」を初搭載したアルファ ロメオ156
  • コモンレール式を採用した実用車初のクリーンディーゼルエンジン「JTD」

かつて自動車雑誌などで欧州車の現地試乗レポートを読んでいると、“今回の試乗車は本国仕様のディーゼルだが……”といった記述をよく見かけた。ご存知のとおり欧州では乗用車のディーゼルは一般的だったが日本では圧倒的にガソリン車が主流で、ディーゼルモデルの導入は希有だったから、そういう“断り書き”が必要だった。

いっぽうで時代が変わり、ここ何年かで日本市場に導入される輸入車でディーゼル車が急増したのはご存知のとおり。その数は直近でざっと70車種近くになり、見渡せば名だたるプレミアムブランドのほどんどでディーゼルモデルを揃えるようになった。それらは「ユーロ6」「ポスト新長期」といった内外の厳しい排気ガス規制をクリアした新時代のユニットの登場を時代の空気が後押しした形で、「クリーンディーゼル」と呼ばれる。

クリーンディーゼルの先駆けはアルファ ロメオだった

コモンレール式を採用した実用車初のクリーンディーゼルエンジン「JTD」
ところで現在主流の「クリーンディーゼル」は、二酸化炭素の排出量がガソリンエンジンより少ないなど、環境性能が格段に高いことで知られている。その技術開発の要になったのが「コモンレール」だが、実はこのコモンレールを使った燃料噴射技術は、もともとアルファ ロメオ(フィアットグループ)が開発、最初に量産化したものだ。

仕組みをごく簡単に言うと、ポンプで高圧をかけた燃料を細長い筒状のレールに送り溜めておき、インジェクターを経て、エンジン回転や負荷によらずに最適な噴射を実行させるというもの。噴射タイミング、回数の自由度が高いことから、完全燃焼に近づけられ、ディーゼル特有のPM(粒子状物質)やNOx(窒素酸化物)の排出も抑えられる。

そしてこのコモンレール式のディーゼルを最初に搭載したのが、センセーショナルなデビューを飾ったあのアルファ ロメオ『156』で、JTD(後に燃料噴射の回数を増やしJTDM、JTDM-2へと発展)と呼称された当時のディーゼルシリーズは、(残念ながら日本市場での展開はなかったものの)実は今につながる量産ディーゼル車の、いわばモニュメント的存在だったという訳である。

“クラストップのスポーツディーゼルターボ”を謳う


さて目下のアルファ ロメオの最新ラインアップのひとつ『ジュリア』で新型ディーゼルエンジンが日本初導入されたニュースは、皆さんもよくご存知だろう。同じく新時代にしてアルファ ロメオ初のSUVモデルの『ステルヴィオ』とともにデビューを飾ったものだが、さすが!と思わせられるのが、アルファ ロメオ自身が“クラストップのスポーツディーゼルターボ”と謳っている点だ。

「ジョルジオプロジェクト」の一環として、ジュリア(とステルヴィオ)の車両設計と並行して開発が進められたもので、ジュリアにあっては最高出力190ps、最大トルク450Nmのスペックをモノにし、0-100km/h加速タイムは7.2秒(欧州参考値)の俊足ぶりを発揮している。

スペックが秀逸であるだけでなく、アルファ ロメオのディーゼルエンジンとして初のアルミ製エンジンブロックや中空カムシャフトも採用、エンジン単体重量でわずか155kgの軽量設計という点も、何といってもアルファ ロメオらしい。もちろん17.2km/リットル(WLTCモード)の低燃費性能も、ディーゼルの魅力だ。

ゴキゲンなアルファ ロメオに仕上がっていた


そんな最新のディーゼルターボを搭載した『ジュリア 2.2ターボディーゼル スーパー』をドライブに連れ出してみた。すると素直に実感したのは、「ディーゼルであることをまったく意識させないゴキゲンなアルファ ロメオに仕上げられている」ということだった。

事実を記せばエンジン始動時の車内/車外では、タタタタ……とディーゼルエンジン特有の音が立っているのがわかる。が、その音量は十分な小ささだし、アイドリング中の振動はガソリン車と変わらない。が、さらに走り出せば、クルマが動き出した瞬間から実感できる軽快感はまさにディーゼルエンジンならでは。

1250rpmで300Nm以上、1750rpmで最大トルクを発揮しているというので身構えたが、出足はむしろジェントルなほど。とはいえそれはアクセルを無闇に踏み込む必要がないほどの力強さで加速しているからだ。


また高速クルージングもきわめてスムーズで、100km/h走行時のエンジン回転は8速で1500rpmを大きく割り込む低さ。バランサーシャフトのおかげでエンジン振動は回しても気にならないし、ノイズの小ささはジュリアの世界観をいささかも邪魔しない。

加えてそこからの加速も、まさにドライバーの気持ちに寄り添うかのように反応してくれ、とにかく軽々と回ってくれる洗練されたマナーは最新ユニットらしいところだ。試しにガソリン車同様に備わる“dna”スイッチで走行モードをダイナミックに切り替えれば、エンジン、ステアリングの特性が切り替わり、より手応えのある走りが楽しめた。

乗り味はスピードが乗るほどにフラットさが増す味付け。ワインディングでは、ステアリング操作に呼応してクルマがグイグイとコーナーの内側に入っていく。試乗車はまさしく50対50の前後重量配分(車両重量1600kg、前/後=800/800kg)で水を得た魚のような身のこなしで、後輪で路面を蹴るFRならではのキレ味のいい挙動が、走らせる楽しみを存分に味わわせてくれる。

「アルファ ロメオらしいディーゼルとは」


そこに停まっているだけで息を飲むほどの唯一無二の精悍なスタイリング、快適性に磨きをかけ、クルマから降りたくなくなる居心地のいいインテリア……。そんなアルファ ロメオのセダンらしいジュリアの魅力は説明不要だろう。さらに今では、各種安全支援機能まで与えられ、現代的なセダンとしての条件も身に付けている。

その上でディーゼルエンジンの搭載、である。クリーンな環境性能、高速クルージングで光る燃費性能、力強いトルクはジュリアに新たな武器を与えた。しかし何より今回の試乗でもっとも印象に残ったのは、たとえディーゼルエンジンを搭載しようともスポーツセダンのジュリアを走らせる醍醐味、手応えはいささかも変わらないという点。言い換えれば、ディーゼルであるかどうか以前に、アルファ ロメオであるということだ。ここに“らしさ”がある。

ディーゼルの常識を疑え。ALFA ROMEO NEW SPORTS DIESEL 公式サイトはこちら

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

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