ショーを活気づけたトヨタ、EV化と自動運転化の中で新たなデザインを提案した日産

日産 IMs(デトロイトモーターショー2019)
  • 日産 IMs(デトロイトモーターショー2019)
  • 日産 IMs(デトロイトモーターショー2019)
  • 日産のグローバルデザインを担当する専務執行役員アルフォンソ・アルバイサ氏
  • トヨタ・スープラ 新型(デトロイトモーターショー2019)
  • スープラ新型 (c) Getty Images
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インパクトあるスープラの登場

トヨタ・スープラ 新型(デトロイトモーターショー2019)トヨタ・スープラ 新型(デトロイトモーターショー2019)

デトロイトモーターショー2019の目玉は、言わずもがなトヨタ『スープラ』だった。事前のwebやレースでのティザー活動が功を奏して話題を集めたようだ。

トヨタは毎年ブースの奥に大きなステージを作ってプレスカンファレンスを行うのだが、例年にも増して各メディアが群れを成した。カンファレンス後も人々はなかなかその場から立ち去ろうとしなかったからすごい。

というか、登場からインパクトがあった。まずは豊田章男社長が真っ赤なスープラで登壇、スープラへの思いを雄弁に語った。そして次に現れたのはシルバーのスープラに乗ったレーシングスーツ姿のアロンソ。サプライズゲストに会場は大盛り上がり。シュリンクするデトロイトモーターショーの中にあって皆がワクワクした瞬間となったのだ。

独特なシートレイアウトの日産 IMs

日産 IMs(デトロイトモーターショー2019)日産 IMs(デトロイトモーターショー2019)

同じ日本メーカーの日産もこのショーにはチカラが入っていた。トヨタとレクサスの関係のように、日産もインフィニティとともに毎年魅力的なモデルをここで発表し続けている。

その日産において今年発表されたのが、『IMs』というEV(電気自動車)のコンセプトモデル。未来的な4ドアセダンという装いでステージに飾られた。特徴はインテリアで、シートレイアウトは「2+1+2」という。そこで実車を確認すると、リアシートのセンターを中心にした仕様ができることがわかった。要するに、「2+1(+2)」で、3列シートを意味しているわけでなく、リアシートを1名がけにもできるし、その1名の左右を使ってさらに2名も乗れる、ということだった。ちなみに、1名がけのときは左右のシートの背もたれを倒しセンターの人の肘置きにすることができるそうで、それを日産は「プレミアシート」と名付けた。これは新たな発想である。

そして、この発想に至った経緯が興味深い。日産のグローバルデザインを担当する専務執行役員アルフォンソ・アルバイサ氏によると、EV化によって実現したというのだ。

リーフの知見を活かしてどう進化させるか?

日産 IMs(デトロイトモーターショー2019)日産 IMs(デトロイトモーターショー2019)

その理由は、EVはエンジンをはじめとするパワートレーンを積む必要がないためパッケージングのスペース効率がいいというもの。もちろん、モーターとバッテリーは搭載するが、これまでの内燃機関用パワートレーンよりずっとコンパクトにまとめられる。そのためキャビンは広くフロアはフラットに作られるのだ。それにエンジンベイがなくなるので、フロントシートの足元もかなり広くできる。

また、自動運転が一般的になれば走行中前列と後列の移動ができるというのも新しい発想。事実このIMsは、自動運転モードに切り替えるとハンドルが収納、前の席が15度内側に回転し、リアシートへ移動できるのだ。そしてそのときリアセンターのプレミアシートが効果を発揮。運転をクルマに任せ、自分は広いキャビンで一番スペースを取ったシートに座り、目的地までの時間を優雅に過ごせるのである。

というように、EV化による新たなデザインの提案がこのIMsには込められていた。もちろん他のメーカーもその辺を睨んでいるのは確か。これからデザイン新時代が始まる予感がする。ただ、『リーフ』のノウハウを貯めた日産のEVカー作りはやはり説得力がある。インフィニティを含め、その辺の動向から目が離せない。

《九島辰也》

九島辰也

九島辰也|モータージャーナリスト 外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。

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