「道はすべてオフロード」走破性を重視したヤマハの低速モビリティ、格好よさにもこだわり

ヤマハ発動機が低速モビリティコンセプト『YNF-01』を発表

『YNF-01』は「限られた人のための乗り物」ではない

開発キーワードは「道はすべてオフロード」だった

ヤマハの低速モビリティコンセプト「YNF-01」(国際福祉機器展)
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  • ヤマハ YNF-01(国際福祉機器展)
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ヤマハ発動機は10月10日、「第45回 国際福祉機器展」で低速モビリティのコンセプトモデル『YNF-01』を初公開した。これはシニアカーとも電動車椅子とも異なる、誰もが移動を楽しめる新しい電動モビリティの提案だ。

「限られた人のための乗り物」ではない

ヤマハ YNF-01(国際福祉機器展)
車名は「Yamaha Next Field」の頭文字と、その第1号機であることを示す。全長1200×全幅700mm以下という車体寸法や6km/hという最高時速は既存のシニアカー(ハンドル形電動車椅子)に準じているが、そのスタイリングは大きく異なったもの。これは誰もが「乗ってみたい」と思うような乗り物の創出を目的にデザインされたからだ。

開発の狙いは「低速モビリティのあり方、使い方を考える素材として提案すること」と説明するのは、プロジェクトを指揮した米光正典ソリューション事業本部SPV事業部JWビジネス部長。「モノを作って売るだけでなく、どういうふうに使ってもらうかを考えなければいけない。それには産官学の幅広い連携が必要で、そこに発想のベースとなるモデルがあれば、議論も活発になる」と説明する。つまりYNF-01はたんなる新ジャンルの商品提案ではなく、新しい乗り物を生み出すための素材というわけだ。

同部で企画を取りまとめた梅林大輝主事は「限られた人のための乗り物だと思われたくない、と考えた。だからYNF-01はこれで完成されたものではなく、ここから発想を広げるためのプラットフォームだと思ってほしい」と説明する。とはいえ「まずは、広く知ってもらうことも重要。だから見た目の格好良さにも注力して開発した」と米光氏。いっぽうメカニズムは、ヤマハ発動機が手がけるさまざまな乗り物から要素を集めて構成。実際に公道を走行できる、きわめて現実的なものになっている。

道はすべてオフロード

ヤマハ YNF-01(国際福祉機器展)
ではスタイリングには、どのような意図が込められているのだろうか。YNF-01は大径タイヤと4輪独立サスペンションを採用し、高い走破性を備える。同時に頑強な金属フレームを乗員を包み込むような形状にすることで、開放感とホールド感を両立。樹脂製のボディやカバーをほとんど持たない、独特のスタイリングが特徴だ。後輪にインホイールモーターを持ち、バッテリーは座面後方に収納されている。

「開発キーワードは“道はすべてオフロード”です」と説明するのは、デザイン本部フロンティアデザイン部MRSプロダクトデザイングループの池谷友弥氏。都市部の舗装道路であっても、小さな乗り物にとっては段差や溝、ちょっとした凹凸が障害として立ちふさがるオフロードというわけだ。こうした状況を容易に走り抜けられることで「ユーザーの行動範囲を拡大し、これまで諦めていた場所にも行けるようにする」という気持ちを込めたものだという。

大径ホイールや太いタイヤ、長いストローク量を持つサスペンションは走破性能を既存シニアカーよりも大幅に高めているが、いっぽうで足元空間を狭め、乗降性を多少損なう要素にもなる。しかしデザインのまとめ役となった同部の星野茂主査は「居住性よりも走破性を重視した結果。いかにも走れそうなスタイリングにした」と語る。デザイン開発でも、走破性能を実現するためのメカニカルレイアウトが重要視され、スタイリング作業はいちばん最後だったとか。
ヤマハ YNF-01(国際福祉機器展)
実際のところ、前輪のディスクブレーキや後輪を支える長いスイングアームは過剰装備に思えなくもない。しかし、見る人の気持ちを昂らせる演出装置として機能している。会場では「かっこいい」「これ、いつ売るの?」という声が絶えなかった。「新しい低速モビリティ」を提案するショーケースとしては、ひとまず大成功を収めたと言っていいだろう。

米光氏はYNF-01の今後について「産官学連携による、商業施設や公共施設など限られたエリアでの実証実験なども実施していきたいですね」と展望を語っている。

《古庄 速人》

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