ハードル下がるか、個人間カーシェア…Anyca の交流イベント

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東京・渋谷にある「cafe 1886 at Bosch」で開催されたAnycaの交流イベント
  • 東京・渋谷にある「cafe 1886 at Bosch」で開催されたAnycaの交流イベント
  • 交流会では主催するDeNAやBoschのスタッフも紹介された
  • どうすれば利用率が上がるか、参考事例も数多く紹介された
  • クルマのトラブルなどに対してボッシュのメカニックが相談に乗るコーナーも用意された
  • 交流会への参加料は無料。会場には「cafe 1886 at Bosch Cafe」が用意したサンドイッチなどが揃えられた
  • オーナーとして参加した豊川夫妻(左2人)、永田さん(中央)、半田さん(右)
  • 上原さん(左)は交流会初参加。利用者として参加した金子さん(中央)、濱田さん(右)は利用者とオーナーの両体験を持つ
  • 神楽坂でAudiA3を貸し出している井口さん(仮名)。これまで大きなトラブルにはほとんどあっていないという

DeNAが提供している個人間カーシェアリングサービス「Anyca(エニカ)」の交流イベントが、2018年6月29日、「cafe 1886 at Bosch Cafe」(東京・渋谷)で開催された。会場には約70人の利用者とオーナーが集まって交流を深め合った。

Anycaは自家用車を個人間で貸し借りするカーシェアリングサービスとして、2015年9月にDeNAがスタートした。マイカーを使わない時間帯を第三者に有料で貸し出して有効活用することを目的とする。ただ、見知らぬユーザー同士でクルマの貸し借りをするのに不安を感じる人も少なくない。そこで、交流会を通して互いの信頼関係を深めてもらうことを目的に、毎月このイベントは企画されているという。

Anycaを利用するにはスマートフォンのAnycaアプリで会員登録を行うことから始める。ここでオーナーはクルマの写真を掲載する他、シェアする条件を細かく提示することができ、登録を終えたら、次に利用者はアプリで貸出車両の検索や予約を行ってオーナーにリクエストを出し、リクエストが承認されればその時点で予約が確定する。登録料は借りる方もオーナーも登録料は無料だ。

また、支払いの際、利用者とオーナー間で直接金銭を授受することはない。利用者はクレジットカード決済でDeNAに利用料金を支払い、DeNAは利用料金の10%を手数料として差し引き、翌月末にまとめてオーナーの銀行口座に振り込まれる。これは金銭上のトラブルを基本的に発生させないためだ。

重要なのはこのサービスはあくまで「個人間の共同使用契約であって、レンタカーのような営利を目的とするものではない」(DeNA)ということ。そのため、レンタカーよりも低料金で貸し出せ、同時にオーナーが持つ個性的なクルマを借りられる。登録されているクルマは高級スポーツカーから高級セダン、SUVなど約500種類。普段ではまず乗れないような車がリーズナブルな料金で借りられるのが最大の魅力となっているのだ。

では、愛車を貸し出すことに抵抗はないのだろうか。クルマ好きなら愛車へのこだわりは強いはずと思うからだ。しかし、交流会に参加したオーナー数人に聞いたところ、その抵抗はないという人ばかりだった。むしろ、「使っていない時に第三者が使うことで小遣いが稼げる」ことへの期待感が強く、このサービスを知るきっかけも自ら同様サービスを探していたという人がほとんどだった。

貸し出す際の不安もほとんどないと利用者は口を揃える。その理由としてあるのが、その手続きで利用者とオーナーの間で信頼関係が出来上がっていくということだ。このサービスではアプリ内のチャット上で、貸出条件の設定の他、利用者との連絡が事前に行えるようになっていて、貸出時には利用者とオーナーとが実際に会うことで、利用者側に「レンタカーではなく個人のクルマを借り受けるんだ」という意識が芽生えてくる中で借り受ける。これがトラブル発生の抑止力となっているらしいのだ。

さらに、Anycaでは、東京海上日動火災保険と提携し、専用の一日自動車保険を用意して利用者に保険の加入を義務付けている。対人対物無制限の賠償責任などへの補償に加え、Anycaで借りたクルマの損傷も300万円まで補償。さらにロードサービスが付帯されており、この日の交流会でもBoschによるクルマのトラブル相談会も開催されるなど、サポート体制への拡大も狙っている。今後はこうしたサポートもサービスの下支えになっていくものと思われる。

日本は諸外国に比べてマイカーに対する維持費が高額だ。車庫に眠っているマイカーを有効活用して、その負担を軽減する考え方が浸透していくのは時間の問題だろう。すでに自動車メーカーもこうした動きには敏感になっており、サービスを通じて自社のクルマを知ってもらうことを目的に参画する動きも出始めているほど。クルマ離れがささやかれる若者たちにとっても、関心のあるクルマに低価格で乗れる絶好のチャンスともなるはず。今後、サービスが広がっていくときに、信頼できるネットワークをどう構築できるかが、個人間カーシェアリングを定着させる鍵となるだろう。

《会田肇》

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