UL Japan、自動車業界にむけたアドバンテージとは… EV/HV車載製品に対応した試験設備を国内初展開【インタビュー】

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UL Japan コンシューマーテクノロジー事業部 橋爪正人事業部長
  • UL Japan コンシューマーテクノロジー事業部 橋爪正人事業部長
  • オートモーティブ テクノロジー センター(Automotive Technology Center、ATC)
  • ATCの電波暗室
  • ATCの車載製品EMC用電波暗室
  • UL Japan コンシューマーテクノロジー事業部 橋爪正人事業部長
  • オートモーティブ テクノロジー センター(Automotive Technology Center、ATC)
  • ATCの車載製品用試験機器
  • ATCの環境試験設備

名古屋駅から東へクルマを走らせ約30分の、愛知県みよし市。今年8月、電気自動車およびハイブリッド自動車(EV/HV)に搭載される製品に対応した国内初の試験設備がここで稼働する。UL Japan が新設したCISPR 25:2016 Edition4 Annex I 対応の電波暗室「EHV Chamber (Electric & Hybrid Vehicle Chamber)」だ。

この画期的なEHV Chamberについての話題の前に、まずはUL Japan について説明したい。UL Japan は、米国イリノイ州ノースブルックに本社を置く、第三者安全科学機関 UL Inc.の日本法人。

米国ULは、認証、試験、検査、アドバイザリー・サービス、トレーニング・サービスを、120年間提供してきた第三者安全科学機関だ。その日本法人が2017年、自動車業界向け試験所「オートモーティブ テクノロジー センター(Automotive Technology Center、以下「ATC」)」を開設し、前述の EHV Chamber や、最新版ワイヤレス給電規格 Qi EPP (最大15W)対応の試験装置導入など、モビリティまわりの先手を矢継ぎ早に打ち出し始めた。

いまなぜUL Japanが、国内で初めてEHV Chamberを稼働させるのか、その背景にあるクルマ開発の事情とは、今後の車載機能とクルマの近未来とは…。そのトレンドを探るべく、同社コンシューマーテクノロジー事業部の橋爪正人事業部長に聞いた。

ATC開設で自動車分野に注力
「いま注力している分野のひとつは、自動車分野です。潮流としては、電気自動車と、コネクティッドカーの2つ。昨年ATCを開設して、すでに非常に多くのオーダーを受けているところです」。

同社が2017年6月に稼働させた自動車業界向け試験所 ATCは、延べ床面積約1900平米、車載機器のEMC試験を基軸に、電気、環境、IOP(Interoperability、相互接続性)試験などを行う拠点で、EMC試験業務に精通する専門試験担当者が、各種ニーズに対応しながら動いている。

「燃費規制などが叫ばれるなか、自動車の電気化が進み、さらに軽量化や電子化が一般的になる。そうすると電子部品の数が増えてきます。一方で、自動車業界にこれまでになかった業界の企業が参入してくることにもなります。

これまでの自動車メーカーで通例だった規格が、新規参入業態にとっては全く初めてのため、『既存の規格そのものについてどうクリアすればいいか』といった相談を受けることもあります。そうした新規に参入する事業者に対しても、パートナーとしてあり続けたいと思っています。最近であった実績でいえば、ディスプレイメーカーなどです。

ATCの最大の売りは、EV化が進む中で課題となる高電圧の部品への対応。EVの駆動時には関連する部品には高電圧が使用されています。そのような高電圧の部品には新たな試験が必要になります。

各社の規定・要望に応える柔軟性

こうした背景のなか、UL Japan が展開するATCは他の競合他社の試験設備とどう違うか、なにがアドバンテージなのか。

「国内外自動車メーカー様の多くが独自の規格を採用しており、要求事項が異なるため、その評価・試験には経験やノウハウが必要となります。これまで培ってきた経験やノウハウを結集したATCでは、こうした各社の規定にもとづいて、ワンストップで試験ができるというのもUL Japan のアドバンテージです」。

もともと自動車分野に深くかかわってきた UL Japan の強みは、各メーカーの規定をくまなく把握し、その上で試験・認証サービスの実績を積み重ねられたという点が大きい。

「EHV Chamber」にかかる期待

では、そのほかに「ほかと違う」と言えるところはあるか。橋爪氏は「高電圧」をキーワードにあげる。

「欧州車両メーカーによって高電圧化における電源規格(LV123/LV124/LV148)の策定という流れがある。車載製品が高電圧化されることにより新たな試験要求が増えています。また一部の欧米車両メーカーや国内車両メーカーによっては『認定試験所』という制度を要求されており、我々のような第三者認定機関と連携して評価・認証を必要としているところも増えてきました。こうしたトレンドのなかで、UL Japan の存在感は今後ますます大きくなると思います。」

この車載製品の高電圧化に対応するのが国内初CISPR 25:2016 Edition4 Annex I 対応の EV/HV車載製品の試験設備「EHV Chamber」だ。今年の8月から稼働を予定し、すでに、複数の事業社から予約・オーダーを受けているという。

「どこよりも早く、ワンストップで試験・認証できるよう、ATC内にEV/HVの車載部品向け固定型ダイナモメーターを搭載した電波暗室『EHV Chamber』を新設しました。EHV Chamberが、前述の高電圧車載製品に要求される電気試験に対応し、さらに、あらゆるEV/HV車載製品向け試験を、ワンストップで実施できるようになった。これが画期的と言えるでしょう」。

EV/HV周辺では、2016年10月に制定された国際規格「CISPR 25:2016 Edition4」が記憶に新しい。このCISPR 25:2016 Edition4 Annex Iでは、EV/HV車載部品の製品化段階で、走行中を模擬した実負荷試験が求められるUL JapanのEHV Chamberは、この新たな規格に合わせて新設された。

「EHV Chamber は、最高トルク125Nm、最高回転数1万2000rpm、動力吸収容量170kWまでの実負荷を再現できる。さらにATC内で、欧州メーカーが電気自動車に要求する電気試験、LV123、LV124、LV148、ISO7637-4なども提供し、ここ最近、増加傾向にある車載向け高電圧製品にも対応している。EHV Chamber が新たに加わり、ATCは最新試験をワンストップで提供できる国内唯一の試験所として進化しました」。

“ワンストップ”はなぜ実現できたのか?

橋爪氏が繰り返し発していた言葉に、「ワンストップ」がある。国内初の EHV Chamber を設置したことで、「世界各国のEMC・電波法規制に対応する測定設備と技術、これまでのEMC既存施設で培ったノウハウと実績をもとに 製品の試験から認可取得まで、トータルでサポートできるのが売り。我々のATCで完結できます」と橋爪氏は続ける。

「測定のアプローチなどは、各社それぞれに違いがありますが、我々はあくまでサービス業なので、各社のオーダーに対応します。2シフト体制で、納期も比較的短く設定できるのが利点。お客様の要望にも柔軟に対応し、たとえば『週末を使ってでも』といった急務にも応じることが可能です」。

UL Japan のEMC・ワイヤレス業務は、試験所認定、車載用機器のEMC試験、シールド効果試験、試験機器校正といったEMCサービスのほか、電波法申請業務、認証・適合性証明、欧州整合規格、無線測定、SAR測定・HAC測定・EMF測定など、国内外むけプロダクトの開発過程でクリアすべき試験・測定・認証などをすべてラインナップ。「国内だと、日本電波法。アメリカだとFCCという米国向け無線機器や情報技術装置の認証が要ります。このFCCを国内で唯一認可出来るのはUL Japanのみで、これもUL Japanだけが持つアドバンテージです」と橋爪氏。

「EV化や自動運転といった進化のなかにある自動車分野では、ECUが増え、関連するソフトウエアが増えてくる。そうなると、サイバーセキュリティなどの課題も膨らんできます。UL Japan では、前述のEMC・ワイヤレス業務のほか、ULサイバーセキュリティ保証プログラム『UL2900』なども展開。クルマが電子化し、無線やレーダー、インターネットなどとつながり、コネクティッドカーへとむかうと、製品・ソフトウェア・インフラストラクチャのサイバーセキュリティ・リスク保護がますます求められます」。

認証・検査・試験・監査、偽造防止、化学的規制へのコンプライアンス、サイバーセキュリティ、EHS持続可能性、機能安全、ナレッジ・ソリューション、小売業ソリューション、サプライチェーンとサステナビリティ、決済セキュリティなど、あらゆるカテゴリを網羅し、さまざまな業界をサポートするUL。その日本法人 UL Japanは、「2018年度も自動車分野を強化していく」という。

最後に橋爪氏は、「自動車は生命に直結した分野。ULのグローバルネットワークを最大限に活かし、これまで200か国で培ったノウハウと実績で、新興国市場などさらなるフィールドへと広げていきたいと考えています」と語った。

【提供:UL Japan】

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《レスポンス編集部》

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