ルノーカングーに山でのバカンスを意識した限定車、カングージャンボリーで発表

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ルノー・カングー・クルール
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ルノー・ジャポンは5月13日に開催された“第10回カングージャンボリー”において、『カングー』の限定車、『カングー・クルール』を発表した。発売は24日からで、2色合わせて200台の限定となる。

◇今年のクルールは山でバカンス

クルールはフランス語でカラーを意味し、カングーの日本独自の限定車として特別なカラーを仕立て、毎年のように発売している。

今年のクルールは山をコンセプトに、ヴェールモンターニュとブルーシエルの2色を用意。ヴェールとは緑、モンターニュは山の意味で、シエルは空を指している。

ルノー・ジャポンマーケティング部チーフプロダクトマネージャーのフレデリック・ブレン氏は、「山というと雪の白をはじめとして様々なカラーを思い浮かべるが、今回はグリーンとブルーを採用した」という。「実は昨年シャモニーに行った時に、もみの木が多くて日本の知っている山とはまた全然違ったグリーンに気づいた。そこで今回のヴェールモンターニュを選んだ」と語る。

そして、「8月のシャモニーやアルプス地方は、日本の1、2月の空のように鮮やかにスカッと晴れ渡る。ブルーシエルはまさしくその青をイメージしている」と話す。

なぜ今回山をテーマにしたのか。ブレン氏は、「昨年はマルセイユ、つまり海をテーマにした。フランス、特にパリ周辺では、バカンスに行く時には山と海のどちらに行くのと必ず聞かれる。そこで去年は海だったので今年は山にした」と今回のコンセプトの経緯を説明した。

また今回の限定車ではフロントグリルブレードに変更が加えられた。黒だった部分にボディカラーが差し色されたのだ。ブレン氏によると、「これまでの限定車は黒バンパーにするなど、ある程度仕様は決まっていたので、今回はもう少し限定車とわかるように新たな仕様を検討した結果だ」という。

そしてこのアイディアは、「実はカングージャンボリーでヒントを得た。ここは交流の場でもあり、色々なアイディアが浮かんでくる。多くは正規では難しいものばかりだが、このぐらいであれば本社に頼めるだろうと判断した。日本に来てからの加工も可能だが、それよりも工場で行った方が統一感もあるので、採用に踏み切った」と明かす。

また、カングー・クルールの成約記念として、フランス発のスキンケアブランド、“ラロッシュポゼ”のUVケアアイテムがプレゼントされる。

◇塗料が変わった

これまでカングークルールは380ほどルノーが保有していたカラーバリエーションから選択し、30台から60台の限定車として販売していた。しかし、ルノーでは自動車の塗料は環境問題や塗装過程での人体への影響を考慮し水性に変更された。その結果、「当初、カタログモデル以外のカラーは作れないといわれた。そこで本社と交渉し、年に数色であれば出来る限り対応しようとなり、そこでなるべく彼らがわかりやすい、作りやすい塗装にシフトした」とブレン氏。そのために、「しばらくはオレンジなどないだろうし、かなり時間もかかるようになった。今回のブルーは全くないカラーではあったが、近いブルーが過去にあったので、要望を出したところ、専用開発することが出来た」という。

開発期間は18か月。「塗料メーカーと打ち合わせをし、昔のカラープレートを使ってそれに一番近いカラーを作っていく。耐久性も必要なので3か月くらいテストし、NGが出た場合にはもう一度トライする」。そうして新色を開発していくのだ。

また、水性になったことで、これまでハンドガンでの塗装だったところから、通常のラインでロボットによる塗装工程に切り替わった結果、最低100ロットからとなった。「現在ラインの6から7割が白だが、その塗装と同じロボットを使うので全部カラーを抜いてパイプの中もすべて綺麗にして特別色のカラーを塗っている」とその手間を語り、「これは他の工場では対応が出来ず、小回りが利くモブージュ工場ならではの特徴だ」と述べた。

◇来場者が作ったカングージャンボリー

さて、カングー・クルールが発表されたカングージャンボリーは今回で10回目を迎える。第1回はお台場の駐車場で、「ちょっとしたオフ会のような形で始めた。当初はさしたる目的も、ビジネス的にも何の考えもなく、とにかくルノーをみんなで楽しめるブランドにしたいということで、一度集まってみようよ、ということで始めた」と振り返るのは同社代表取締役社長の大極司氏だ。

そこでは、「カングーが100台、全体で250台くらいが集まった」という。「屋台もイベントも何もなかったが、みんなにこやかに笑顔で最後まで楽しんでもらえたので、やはりこれだと毎年継続することになった」と述べる。

そして、「これだけ大きくなったのは来場する皆様がカングージャンボリーを育ててくれたおかげだ。このカングージャンボリーはルノー・ジャポンが作って来たのではなく、オーナーの皆様が毎年毎年少しずつカングージャンボリーを育ててくれたと思っている」とし、「今年も9時半の時点で1400台近いクルマが入場しており、昨年は2000台、4000人の方が入場されたので、今年も同じぐらいになるだろう」と話す。

◇アイディアをフランスに持ち帰る

このイベントに合わせて来日した、ルノー本社小型商用車担当プログラムダイレクターのフィリップ・カイエット氏は、カングージャンボリーを見学した印象について、「こんなに様々なカラーはあるのに驚いた。実際に自分たちで作っていたのだが、ここに来て実際に自分の目で見てとても驚いた」と笑う。

また、「様々なアクセサリーや内装の工夫を見て、多くのアイディアを学ばせてもらった。カングーは世界で120万台販売しているが、まだまだこれから伸びる可能性のあるクルマだ。そこで、今回得たいくつかのアイディアをフランスに持ち帰り、さらに魅力的なカングーを開発できるようにしていきたい」と語った。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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