トヨタが2年ぶり最高益決算、取引時間中に発表で株価も急騰[新聞ウォッチ]

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気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

2018年5月10日付

●トヨタ最高益2.4兆円、3月期2年ぶり増収増益(読売・2面)

●取引時間中に決算発表、迅速な開示規則、トヨタ初の前倒し(毎日・7面)

●軽の販売が好調三菱自黒字転換、3月期、2年ぶり(毎日・7面)

●ガソリン価格、3週連続上昇、全国平均145円90銭(東京・7面)

●EV・自動運転に5兆円、アウディ、高級車2強に対抗(日経・14面)

●「空飛ぶタクシー」開発競走、米ウーバーが最新コンセプト機(日経・15面)

ひとくちコメント

「連敗は絶対にいけない」。1年前の決算発表の場でトヨタ自動車の豊田章男社長は歯を食いしばりながら語っていたが、1年後の2018年3月期の最終利益は36.2%増の2兆4939億円、売上高は6.5%増の29兆3795億円と、ともに2年ぶりに過去最高を更新した。

きょうの各紙のタイトルも「トヨタ最高益2.4兆円、3月期2年ぶり増収増益」(読売)と、日本の企業としても過去最高を記録したことを報じている。

ただ、2019年3月期連結決算の見通しでは、最終利益が前期比15.0%減の2兆1200億円になるなど、2年ぶりの減益を予想。各紙の見出しも「北米市場 縮小懸念」(朝日)、「トヨタ将来へ危機感」(毎日)、「サービスシフト重い開発負担」(産経)と、「100年に一度の大変革期」での生き残りを図るのが、容易ではないことを分析しながら伝えている。

トヨタの決算発表で決算数字以外に各紙が特筆しているのが、その開示の時間帯のこと。今回の決算が東京株式市場の取引時間中の午後1時25分に資料配布して公表したからだ。きょうの毎日などによると、上場企業の7割超が取引終了の午後3時以降の発表だが、トヨタはその慣例には従わずに迅速な開示に踏み切った。

取引時間中の発表効果もそれなりにあったようで、午後1時25分時点での株価は前日終値より34円ほど下落していたのが、過去最高益などの開示直後には急騰して、その日は269円高の7424円で取引を終えている。また、決算説明会では報道関係者以外にも、東京海上ホールディングスの永野毅社長ら大株主や投資家も参加して、まるで株主総会のように、豊田社長への質問も行っていた。

それにしても、ムダをなくす「原価低減」がお家芸とはいえ、会場のトヨタ東京本社地下の大会議室は、立錐の余地もないすし詰め状態。ウェブ上でも同時中継をしていたようだが、次回からは、1媒体で複数出席している記者の入場制限をするか、近くのホテルの大広間を借りるかなどの対応も必要だろう。

《福田俊之》

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