「赤い電車」が代名詞になっている京浜急行電鉄(京急電鉄)は12月14日、「白い京急電車」を運転した。まもなくデビューする新1000形電車の17次車が製造工程の都合により、塗装が完了する前の姿で運転されたもの。最終的には赤白2色の「全面塗装」が施される。
17次車は川崎重工業が製造する6両編成2本と、総合車両製作所(J-TREC)が製造を担当する8両編成3本の計36両が計画されている。まず6両編成1本が2018年1月にデビューする予定だ。
今回運転されたのは、2018年2月にデビューする予定の8両編成1本(第1201編成)。納期の関係で塗装が完了しないままJ-TREC横浜事業所(横浜市金沢区)を出場した。最終的な塗装は京急グループの車両整備会社である京急ファインテックの久里浜事業所(神奈川県横須賀市)で行われることになり、J-TREC横浜事業所から京急ファインテック久里浜事業所まで試運転扱いで自力走行した。
第1201編成は10時15分頃にJ-TREC横浜事業所を出場。まず金沢八景駅に入り、折り返して金沢文庫駅へ。ここで再び折り返して京急久里浜駅まで走り、さらに折り返して京急ファインテック久里浜事業所に入った。金沢八景駅には大勢の鉄道マニアが詰めかけて第1201編成にカメラを向けていたほか、一般の利用者も「白い京急電車」の姿に驚いて携帯電話やスマートフォンのカメラを向けていた。
■「伝統の赤と白」復活へ
新1000形は2002年から導入が続く京急電鉄の電車。当初はアルミ製の車体に赤白2色の塗装を施していたが、2007年の6次車以降は車体がステンレス製に変わり、側面は赤白2色のフィルムを窓下に貼り付けたほかは無塗装になった。
しかし、京急電鉄の「伝統色」といえる赤白2色塗装の復活を望む声が多かったこともあり、2016年にデビューした新1000形の1800番台と16次車は、幅の広い赤白2色のフィルムでほぼ全体を装飾。17次車は「伝統」の考え方をさらに推し進め、赤白2色の塗装で全面的に塗装することにした。
腐食に強いステンレス車体の鉄道車両は、塗装を省略して塗装コストを削減することが多い。ステンレス車の全面的な塗装は珍しく、京急電鉄は「関東大手私鉄では初の試み」としている。同社は新1000形の18次車以降も全面塗装を施す方針だ。