トヨタ ハイエース/レジアスエース 一部改良…チーフエンジアの想いと思いやり

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トヨタ・ハイエース/レジアスエース一部改良
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●「想い」で「P」を採用

11月22日に発表されたトヨタ『ハイエース/レジアスエース』の一部改良。その最大のポイントは自動ブレーキ(プリクラッシュセーフティシステム)を含めた衝突支援回避パッケージ「Toyota Safety Sense P」の採用、しかも全車標準搭載だ。

トヨタの衝突支援回避システムには大きくわけて「Toyota Safety Sense C」と今回搭載された「Toyota Safety Sense P」の2種類があり、単眼カメラにミリ波レーダーを組み合わせる後者のほうが高機能(“C”は単眼カメラ+赤外線センサー)。歩行者検知をおこなう、自動ブレーキの作動が高い車速域まで対応する、停止車両に対する回避可能能力が“C”に対して10km/hほど高い約40km/h、などの違いがある。

一般的に考えるとハイエース/レジアスエースは商用車だからベーシックで価格も安いタイプを選択しそうだが、高機能版を選んだことは注目すべきポイントといえるだろう。

その理由について開発のチーフエンジニアをつとめた野村淳さんは「想いです」と力強く説明する。

「ミリ波レーダーを使っているので検知距離が長い。高速道路を走るハイエース/レジアスエースも多いですから、より車速が高くても自動ブレーキが作動できるように考えての選択です。ハイエースは仕事で使うことが多いクルマなので、事故などでクルマを使えなくなってユーザーを困らせてしまうことは避けたい。お客様にご迷惑がかかる。だからあえての“P”なのです」という。

●幅広い使われ方をされるから高機能

製品企画担当の岡田和洋さんは「ハイエース/レジアスエースには幅広い仕様があって、車両重量にも幅がありますよね。だからいろんな状況に対応できるということでも高機能版の“P”のほうが都合がいいのです」と補足する。

ハイエース/レジアスエースは荷物をたくさん積むこともあって車両の前後の傾きが変化することもあるが岡田さんによると「ヘッドライトのオートレベリングの技術を応用したシステムでカメラの画角が上下3度、合計6度動くことで対応する」という。

また緊急ブレーキ時に後輪のロックを防ぐために車両の状況に応じて前後左右の制動力を適切に配分するEBDも採用している。これはVSCのアクチュエーターを使った機能としているため、トヨタセーフティセンスPの標準搭載にあわせて今回からVSCも全車に採用されたというわけだ。

またトヨタセーフティセンスPの機能としては自動ブレーキのほかに車線はみだしを警告するレーンデパーチャーアラートやヘッドライトの上下を自動で切り替えるオートマチックハイビームも組み込まれている。フロントグリル裏にレーダーが組み込まれていてグリルの形状が一部異なること、ルームミラーの上付近に単眼カメラが備わること、そして内装ではレーンデパーチャーアラートやオートマチックハイビームのスイッチが運転席周辺に組み込まれることが従来モデルとの違いだ。

さらに、セーフティセンスPの表示をおこなうためにメーター内には大型ディスプレイが必要となる。そのため、従来は上級グレードのみであったオプティトロンメーターが、ベーシックグレードの「バンDX」まで含めて全車(セーフティセンスP非装着を選択した場合を除く)に採用されたのは朗報といえるだろう(旧型のベーシックグレードオーナーは悔しがるかもしれないが)。ちなみに、今回の一部改良ではディーゼルエンジンのMTモデルが消滅したものの、タコメーターは全車に組み込まれることになっている。

●トラブルを予兆できるように壊れる

ところでチーフエンジニアの野村淳さんの発言で興味深いことのひとつが「ハイエース/レジアスエースは壊れ方に注目している。突然壊れて走行不能になりお客様に迷惑を掛けないように、大きなトラブルを予兆できるように壊れる」ということ。

岡田さんによると「できるだけ走行に支障のないところから壊れて大きなトラブルを予防できるように部品が壊れる順番まで考えているのです。また、もし駆動系に負担がかかったらデフのギヤが最初に壊れるなど、できるだけ修理代が安く収まるようにも配慮していますよ。命にかかわるところは絶対に守らなければいけない」という。

ハイエース/レジアスエースは「プロの道具」でもある。だからハードに使われることが多く、お客様の負担を最小限にするよう配慮し作られているエピソードのひとつだ。

●プロ仕様は遊ぶのにも便利

さて、プロ仕様というイメージの強いハイエースではあるが、広い荷室に目をつけたアクティブな人たちが遊びのパートナーとして使うケースも増えている。

今回はそんな人たちに向けたコンプリートカーも登場した。それが『リラクベース』だ。特徴はレトロ風イメージのエクステリアデザイン。ハイエース50周年記念モデルというだけあって、古いデザインのトヨタエンブレムをグリルに飾るなど懐かしい雰囲気である。

ただし、興味深いのはハイエース一部改良の最大のトピックがトヨタセーフティセンスPの採用であるにもかかわらず、リラクベースには非装着となっていること。なぜなのか?

「フロントグリルが専用品になっているからです。このクルマはデザイン重視で企画したため、グリルを変更することが決まっていました。そのためミリ波レーダーを搭載できず、セーフティセンスPが非装着になっているのです」とモデリスタの広報担当者がこっそり教えてくれた。

できれば、どこかのタイミングでアップデートして搭載してもらえるとうれしいのだが。

《工藤貴宏》

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