カーセブンのシステムが支持される理由とは …中古車査定の「インスマートシステム」編

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カーセブンディベロプメントの中村次郎氏(右)と今井崇文氏(左)
  • カーセブンディベロプメントの中村次郎氏(右)と今井崇文氏(左)
  • カーセブンが展開する4種類のクラウドサービス
  • カーセブンの「インスマートシステム」
  • カーセブンディベロプメント社長の井上貴之氏
  • カーセブンディベロプメント システムグループ マーケティング&システム&トレーディングディブジョン グループマネージャー 中村次郎氏
  • カーセブンディベロプメント ニューセールスディベロプメントグループ  ニューセールスディベロプメントディビジョン シニアマネージャー 今井崇文氏
  • カーセブンディベロプメントの中村次郎氏(右)と今井崇文氏(左)

「カーセブン」と言えば中古車流通のブランドだが、業界内ではむしろ、カーライフビジネス向けのクラウドツールを提供するASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)として注目を集めている。中古車流通業者が提供するASPとは何か、なぜ注目を集めているのか、その理由を聞いた。

自分たちで使って便利なものを

カーセブンが提供するサービスは4種類。すべてクラウドベースで動作しており、サービスの利用用途に応じてパソコンやタブレット、スマートフォンで利用することができる。各サービスは連携して利用することもできるが、単独で選ぶこともできる。

本業は中古車流通業であるカーセブンが、競合ともいえるカーライフ事業者に向けて、クラウドサービスを提供するようになった経緯は、聞けば非常に合理的なものだ。カーセブンディベロプメント社長の井上貴之氏はこう説明する。

「もともと自社で使うために作っていた営業管理や在庫管理、査定システムがあり、便利なものができたので、それを同じような業態の他社に提供することにしました。ですから、汎用的な営業支援ツールよりもよほど競争力があります」。

サービスの開発を担当するグループマネージャーの中村次郎氏も続ける。「自社の事業で確実に使えるものを大前提としています。逆に言えば、事業に寄与するもの以外は作らない。この点は揺るぎません。中古車の現場で便利なシステムを、同じ業種のお客様に展開しているので、利便性が高いと判断してもらえるはずです」。

カーセブンのシステムは、驚いたことに、まさに競合他社と見られる中古車買い取りで有名な某チェーンブランドも利用しているという。「競合だからと言って切るのではなく、同じ業種なら利便性が高いのは同じなので、膨大なお金を掛けて作るよりも、シェアしましょうということです」(中村氏)。

以下、同業他社からも高く評価されているカーセブンの4種類のクラウドサービスを、利用事例を交えながら紹介する。

中古車査定・車両データ登録システム「インスマートシステム」

まず紹介するのは、4種類のクラウドサービスのなかでも、カーセブンならではの強みがもっとも発揮されている査定サポートシステムの「インスマートシステム」。車検証のQRコードをタブレットで読み込むだけで、車両データがクラウド上のデータベースに登録され、査定ができるというものだ。

特に、車検証のQRコードを読み取るだけで自動的にデジタルデータ化され、査定までできる点が評価されているという。

「そもそも車の情報は、項目がとても多くて入力が面倒なのですが、QRコードを読むだけで入力できるようになります。それまでは、全部紙で書いて、本部のプライシングセンターにファックスを送って査定…というようにすごく手間が掛かっていたのですが、それをデジタルでやりましょう、というのがスタートでした」(井上氏)。

QRコードは車検証に印刷されているものなので、国土交通省が規格を変更することもよくあるそうだ。

「あれ? 読めない…ということは少なからずあります。国土交通省が通達を出すわけではないので。そういう時にはすぐにクラウド側の読み取りシステムを変更しますので、現場での影響は最小限です」(井上氏)。 ここにもクラウドサービスならではの強みが活かされている。

さらに、実際に査定をする現場からのフィードバックも反映されている。クラウドサービスのセールスを担当するシニアマネージャーの今井崇文氏が付け加える。

「傷の状態なども人によって言い方が様々です。線傷と言っても表面だけの場合もあれば、下地が見えている時もあります。それを写真を撮って送信し、査定に反映することもできます」。

査定額は3種類、買取保証も

タブレットで車両のデータを登録すると、3種類の査定額が提示される。今井氏は言う。

「すぐに提示されるのは、概算見積もりのクイックプライシング。オークションの相場から機械的に算出するものです。次に、カーセブンのプライシングセンターが情報を見て提示するプロフェッショナルプライシングがあります。10分から15分で回答します。3つ目の査定は、買い取り保証のプレコミットメントプライシングです。

最初の2つは相場を教えますよ、というものですが、この”プレコミ”に関しては、その金額を保証しますよ、というものです。買取金額が保証されるので、お店側としてはリスクがありません。この点は、中古車流通が本業ではない整備業者などにはとても好評です」。

買取金額を保証するのは、カーセブンだけではない。例えばトラックなどの商用車は、それ専門の流通業者がより高い査定額を提示することもある。

「我々は冷蔵車など出されても、売れないので買い取れません、となりますが、その道のプロと提携していますので、カーセブン本部より高い金額を彼らが保証してくれる場合もあります」。

インスマートは流通システムでもある

ここまで来ると、インスマートシステムは単なる中古車査定サービスではなく、査定+買取の中古車流通システムという側面が見えてくる。中村氏は言う。

「極端な話、お店に展示している車を登録してもらっても構いません。例えば、なかなか売れないクルマを、今いくらかな? とやってみると、買取保証額が提示されるので、これだったらさっさと手放してしまおう、といった使い方もできます」。

つまり驚いたことに、業者用の中古車マーケットがインスマートシステムの中ですでに形成されている、ということだ。

「インスマートシステムは、査定の情報を登録するだけではなくて、登録してもらった車をカーセブン本部が買い取るというサービスも備わっているのです。ですので、車の買い取りに不慣れな整備業者などの人たちは、“お客さんは売りたいと言っているけどどうしていいかわからない。とりあえずインスマートに登録しておけばカーセブンが代わりに買ってくれる”、という使い方をしています。車を査定するだけではなく、そのあとの流通まで私たちが全部やりますというスタンスをとっています」(中村氏)。

今井氏は、そのメリットをセールスの現場で実感しているという。

「買い取った後のことを心配しなくてもいい、という点が整備業者さんにうけている部分です。買い取りと言っても相場もわからないですし、先にお金が出ていく商売なんで怖いですよね。何十万と損をする場合もありますし…。なので、今まで手を出せなかった業者さんが多かったのですが、買い取り保証があればウチでもできる、といって導入していただくケースがよくあります」。

インスマートシステムを利用するのは、主に中古車流通業者だが、そのほかの業態でも利用され始めているようだ。今井氏によると、「割合としては、整備業者や板金業者の企業様が多いですね。それから、新車ディーラーでも使っています。下取り車両の管理だったり査定の管理にご利用いただいています。ガソリンスタンドも結構多いです」とのことだ。

「整備業者やガソリンスタンドなどの業態では、以前は知り合いの販売会社に紹介したりしていたのですが、今はそれぞれの業態でお客様の囲い込みが進んでいるので、例えば販売会社で整備も板金も自社でやる、というところが増えているんですね。ですので、皆さん自社でお客さんを囲い込んで商売につなげる、という流れになっています」。

安心感を安価に提供する

インスマートシステムはクラウドサービスなので、ユーザーIDを発行する数に応じて課金される仕組みだ。月あたり数千円程度となる。同様のサービスと比較してもかなり安く設定されているという。

「カーセブンはシステム会社ではないので、このサービスがまったく売れなかったとしても、ウチのフランチャイズや直営店で使うので、維持をしていかなければなりません。だったらみんなで使いましょう、ということで安価に提供しています」と中村氏は説明する。「整備業者や板金業者など、中古車流通が本業ではない人たちが、月3-4万のサービスはなかなか使えませんよね。板金屋さんなんて特に、日々買取が発生するわけではないので、突発的に買取が発生したときに、1台売って5万の利益を取って、それでペイできる程度でないといけません」。

今井氏は現場の声を紹介する。「よく言われるのが、いつでも査定を出せるという安心感がある、ということですね。このぐらいの維持コストで、買取を希望するお客様への対応ができるという安心感です」。

このインスマートシステム、業界内にはかなり普及が進んでおり、そろそろ頭打ちだろうと毎年予想しているものの、相変わらずID数が増え続けているという。

《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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