デンソーが取り組むADAS…運輸業界向けセミナーを開催

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デンソーセールス 取締役社長 伊藤正彦氏
  • デンソーセールス 取締役社長 伊藤正彦氏
  • デンソー コネクティッドサービス事業推進部 稲葉一郎部長
  • デンソーの安心/安全コンセプト
  • ドライバーの眠気やわき見を検知するデバイス『DSM』。後付け可能なパーツを販売予定だ。
  • 隊列走行の狙い
  • 隊列走行の目標設定
  • 自動運転のためのデバイス群
  • セミナーではフリート向けサービスの展示もされている。これはスイッチを押すと冷風やミントの香りを噴出し眠気を防止するというもの。

デンソーおよび国内販売会社のデンソーセールスは8月21日、運輸業界向けセミナーを開催した。

デンソーのコネクティッドサービス事業推進部の稲葉一郎部長が登壇し、デンソーが取り組むADAS(運転支援)や自動運転について説明、商用車の隊列走行について時間が割かれた。

稲葉部長はまず、デンソーの安心/安全コンセプトについて紹介した。「運転シーンにおけるヒヤリハットの部分を”いつもの安全”とし、ドライバーの認知・操作・判断を車両側から支援することで、ドライバーに安心を提供することを目指す。そして、その次の段階を”もしもの安全”とし、緊急時の危険回避、万一の重大事故に至る場合は被害軽減を目指している」。

具体的な取り組み状況については、「ADAS(運転支援システム)や自動運転に取り組んでいる。人の知覚を上回るセンシング技術、(通信などで)先を読む技術、人とクルマのコミュニケーション、クルマと周りの社会とのコミュニケーションの開発を進めている。具体的には、全車速オートクルーズ、レーン内走行だ。今後は、レーンチェンジや分合流、そして2020年代には自動運転と進んでいく」と説明した。

商用車については、「DSM(ドライバーステータスモニター)を2018年にリリースする。すでに日野の商用車には純正採用されているものだが、アフターマーケット製品としてリリースする予定だ。目の開眼度、眠気、わき見をしていないかを検知する。単なるわき見だけでなく、スマートフォンなどを見て下を向いていないか、体調悪化による姿勢崩れも検知する。商用車のドライバーの支援をしていきたい」とした。

そして隊列走行については特に時間を割いて説明がなされた。隊列走行のメリットについて「風の抵抗を和らげることができるので、後続車両は前からの風の抵抗が少なくなる。また、車両後部の空気の巻き込みによる抵抗も結構影響が大きいので、先頭車両も燃費が良くなる。車間2メートルで後続車両が走ると、25%の燃費軽減、4mだと15%、12m離れても8%の効果がある。NEDOの実験では、3台が4m間隔の隊列を組んで走ったとき、3台の平均値で16%の燃費改善となった」。

「政府からは、2020年には新東名高速道路で後続車両が無人の隊列走行を実現してくれと言われている。さらに、2022年以降には東京~大阪間で後続車両無人の隊列走行を事業化する、という目標設定がされている」

「これを実現するために、正確な位置情報を取得するGPSシステム、白線を検知するためのカメラ、隊列間での車車間通信、対象物までの距離を測るミリ波レーダーやレーザーレーダーを搭載し、ハンドルや速度の自動制御を目指している。政府やメーカーと連携してシステム開発を推進中だ」

あわせて、同社の投資先である米ペロトン社の紹介があった。大型トラックの隊列走行の実現を目指す企業だ。「アメリカは長距離トラックが多い。ペトロン社は、隊列走行を後付けデバイスで実現しようとしている」。

《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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