飲酒運転死亡事故「約25%は第三者を死亡させている」...松本国家公安委員長

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松本純国家公安委員長(14日・霞が関)
  • 松本純国家公安委員長(14日・霞が関)

松本純国家公安委員長は、2015年と比較して16年に増加に転じた飲酒運転による死亡事故について、14日の閣議後会見で「飲酒運転による悲惨な交通事故が依然としてなくならない実態を踏まえ、対策をさらに強力に推進していくよう警察を指導していく」と語った。

2016年中の死亡事故は213件。前年より12件多く2010年以来、6年ぶりの増加だ。道路交通法改正で飲酒運転の厳罰化が始まったのは2009年6月だった。増加はそれ以来となる。

松本氏は飲酒運転死亡事故の発生傾向について、警察庁の分析としてこう述べた。「飲酒死亡事故は深夜だけでなく早朝に発生する事故も多く、飲食店だけでなく、自宅で飲酒して事故を起こす事例も多い。また、飲酒直後から1時間までの時間帯での事故が多い」。

さらに、こんな特徴についても言及した。「車両単独事故で運転者が死亡する事故が多いが、約25%は第三者を死亡させている」。

ただ、飲酒運転をなくす取組みは、厳罰化の効果が顕著だった2010年以降、前年比の飲酒事故減少率が徐々に低くなっている。死亡事故の増加はわずかとはいえ上昇に転じた状況は、厳罰化の限界を示しているともいえる。

そんな中で松本氏は、こう述べた。「飲酒運転を絶対にしない、させないという国民の規範意識を、さらに確立していく必要があるものと認識をしている」。

飲酒運転をなくす取組みは、警察だけでは充分ではないが、地方自治体が広報啓発の域を超えて取り組む例がある。三重県と福岡県は飲酒違反者の中にアルコール依存症や多量飲酒の習慣がある場合があることから、警察と連携して公安委員会から情報を得て、違反者に対して検査の受診と結果報告を求める条例を制定している。ただ、こうした取組みは、他の都道府県には広がっていない。

松本氏は「アルコール依存症などの受診義務付けの効果検証などについては、「必要に応じて各県で実施されるものと認識しているが、今後とも条例の施行状況を注視していく」と、述べるに留めた。

《中島みなみ》

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