気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2017年4月25日付
●仏大統領選マクロン氏対ルペン氏、来月7日決選、EUの行方左右(読売・1面)
●東芝4事業分社化を決定、管理体制を厳格化(朝日・7面)
●三菱自、中国にエンジン工場(朝日・7面)
●福知山線脱線きょう12年(毎日・31面)
●星野リゾート大阪に新ホテル、あいりん地区に隣接(産経・10面)
●クルマの未来、スバル、40万台態勢急拡大のゆがみ(産経・11面)
●バイク7台転倒2人死亡、岡山、サーキット練習走行中(産経・24面)
●ヤマト、5~20%値上げ、消費者向け9月にも、27年ぶり(日経・1面)
●マツダ、営業増益、今期15%増、SUVけん引(日経・2面)
●タイ、エコカー集積へ始動、マツダEV市場を調査(日経・11面)
●東南アジアで物流を統合、三菱自と日産、まずタイ(日経・15面)
●国交省、ドライブレコーダーの基準緩和、車内撮影しやすく(日経・38面)
ひとくちコメント
今に始まったことではないが、企業ニュースを伝える速さは、日経の独壇場と言ってもいいだろう。とくに最近の話題として「働き方改革」に取り組む宅配最大手のヤマト運輸については日経が取り上げてから他紙が追随するケースが際立つ。
きょうの紙面でも、読売などの各紙は「当日再配達、締め切り早める」などと、不在だった届け先へ当日再配達する際の受付時間を4月24日から1時間短縮したことを伝えているが、一方の日経は検討課題とされている運賃値上げについて1面トップで報じている。
それによると、「9月にも宅配便の基本運賃を5~20%引き上げる方針を固めた」というもので、クロネコヤマトの「宅急便」が消費者を対象に値上げするのは消費増税時を除くと27年ぶりだそうだ。
さらに、インターネット通販会社など割引を適用する大口顧客にはさらに大きい値上げ率を求めるという。
きょうの日経の企業面では解説記事も掲載。「日本型サービスに転機」とのタイトルで「基本運賃を27年ぶりに値上げする方針を固めたのは、安い運賃で請け負っているインターネット通販の配送の増加で悪化した業績を回復するためだ」と指摘。
「人手不足でもサービスの質を落とさない一方で、賃上げも値上げもできずにいた日本のサービス業が転機を迎えていることの表れといえる」と警鐘を鳴らす。
値上げをできずに悩んでいるのは何もサービス業ばかりではない。日本の商習慣としては長年「良品廉価」あるいは「薄利多売」をモットーにしてきたが、生産拠点を賃金の安い海外に移転させた影響などで、必ずしも品質面で優れているものばかりとは限らなくなってきた。
宅配便とはいえ、ヤマトが強気の運賃値上げに踏み切るのも、クロネコヤマトの「宅急便」というブランド力が決め手となっているからで、自動車業界でいえば、相変わらず輸入車と国産車と価格の差があるのもブランドの浸透力の違いと考えれば理解しやすいだろう。デフレ脱却の風穴を開けそうなのが「宅急便」というのも感慨深い。