F-35シリーズには、空軍向けで滑走離着陸(CTOL=Conventional TakeOff and Landing)だけを行う「A型」。岩国基地へ配備された海兵隊向けのSTOVL(Short TakeOff and Vertical Landing)機である「B型」。そして空母(CV)での運用を行うための装備を備え、主翼や垂直尾翼、水平尾翼を大型化するとともに降着装置(脚部)の構造を強化した「C型」がある。シリーズ全体で200機以上がすでに生産されているが、全損に至るような重大事故はこれまでに1件も発生していない。
垂直離着陸機といえば、イギリスが開発した「ハリアー攻撃機」が代名詞的な存在だ。海兵隊も改良型の「AV-8 ハリアーII」を運用しており、岩国に配備されるF-35Bのうち数機は将来的にAV-8と代替されることが予定されている。両機はその特徴が似ているが、海兵隊では「似て非なるもの」としている。F-35BがSTOVL機なのに対し、AV-8はSTOL/VTOL(Short TakeOff and Landing/Vertical TakeOff and Landing)機となっている。STOL/VTOLのAV-8は「垂直離陸も想定運用に含まれている」が、STOVLのF-35Bについては「垂直離陸が想定運用に含まれていない」ため、ここが両機の似て非なるポイントとなる。