【スーパーフォーミュラ 鈴鹿テスト】来季の新人&復帰候補選手たち、「SF14」のコーナーでの速さを実感

モータースポーツ/エンタメ モータースポーツ
左からキャシディ、山下、佐々木、大嶋。
  • 左からキャシディ、山下、佐々木、大嶋。
  • 佐々木大樹(右後方)は午後のセッション、#50 B-MAXのマシンで出走。
  • 大嶋和也はSUPER GTの所属チームでもあるチームルマンのマシン(#7)で鈴鹿テストを走った(写真は午前セッション)。
  • ニック・キャシディはKONDOのマシン(#3)をドライブ。
  • 山下健太もKONDOからテストに参加した(#4)。
  • 午後のトップタイムをマークしたのはSFレギュラー選手の野尻智紀(#40 ダンディライアン)。
  • 来季SFに新規参戦するB-MAXレーシングチームの組田代表。
  • 今回の鈴鹿テストは一日のみだったが、6時間以上の走行セッションが実施された。

24日に鈴鹿で実施されたスーパーフォーミュラ(SF)合同テスト。来季の新人候補あるいは復帰候補として参加したドライバーたちが、走行後にインプレッションを語った。皆、一様に「SF14」のコーナーでの速さを実感しつつ、楽しめたようである。

一日のみの日程で午前~午後・計6時間強の走行セッションが行なわれた鈴鹿テスト。午後の天候は曇りに晴れ間も混じるようになり、路面は走行ライン外にまだ乾き残りのように見える部分もしばらくはあったが、完全ドライといえる状況だった。

午後のトップタイムは野尻智紀(#40 ダンディライアン/ホンダ)がマークした1分36秒456。温度条件の良さや、タイヤの仕様等を含めてあくまでも“テスト”という状況下でのタイムであることは前提になるが、午後は非常に高い水準のタイム域に皆が踏み込んだ。1分36秒台を9人がマークしている(10月末の最終戦の予選最速は1分37秒026)。

今回のテストはルーキーテストの側面も持つ。現時点でSF参戦歴のない、来季の新人候補選手でこの日のテストに臨んだ者は4名。そのうち、牧野任祐はホンダのテストカーでの出走だったが、それ以外の3人はチームのマシンに乗って参加している。

N.キャシディ(#3 KONDO/トヨタ)、山下健太(#4 KONDO/トヨタ)、佐々木大樹(#50 B-MAX/ホンダ)がそうで、彼ら3人と、復帰候補選手ということになる大嶋和也(#7 チームルマン/トヨタ)の計4名が走行後、ドライブの感想を語っている。

ほぼ一様に聞かれたのは、「SF14」というマシンのスピード、特に強大なダウンフォースが可能にするコーナーでの速さを実感したことであった。SFの前身「フォーミュラ・ニッポン」の優勝経験者であり、SF14での実戦参戦経験もある大嶋はもちろん、キャシディと佐々木もSF14での走行そのものは初めてではなかったが、ハイスピードコーナリングのポテンシャルを再確認、といったところのようだ。なおかつ(初走行の山下を含めて)皆が「楽しめた」「ぜひ来季は参戦したい」との意を異口同音に語っている。

大嶋からは“復帰濃厚”な旨も聞かれた。「いつチャンスが来てもいいように、常に準備はしていました。今日はマシンとタイヤのポテンシャルを全部引き出せたとはいえませんけど、一日乗って感覚もだいぶ戻ってきましたし、タイムの詰めどころも分かっています」。そして「やることは一杯あると思います」とも。復帰参戦をかなり具体的に意識しているようだ。SUPER GTのGT500クラスでも活躍する実力者の復帰が叶えば、シリーズの接戦状況にさらなる拍車がかかるだろう。

一方、佐々木はGT500においてヨコハマタイヤ装着車で戦っているドライバー(今季2勝)。SFは今季からヨコハマのワンメイクになったが、佐々木同様にGT500をヨコハマで戦っている国本雄資と関口雄飛が今季のSFでは混戦のなか、チャンピオンとシリーズ3位に輝いている。

カテゴリーが違う上に、ワンメイクとマルチメイクの違いという要素もあるが、佐々木は「やっぱりタイヤにはメーカーによる特徴があります。どこが“稼ぎしろ”になるのかを理解して、自分の好みのセッティングにマシンを仕上げていくうえでは、GT500の経験も活きると思います」と語り、参戦実現の折には自分にも“ヨコハマ勢”としてのアドバンテージがあることを示唆。彼もまた参戦実現が期待される存在だ。

昨季と今季の全日本F3チャンピオンであるキャシディと山下も、その実績と能力からSFへの道が開かれて当然といえるドライバーたち。今日に関しては(タイムを気にすべき状況とはいえないにしても)4人とも1分36秒台には入れていないというタイム的な現実もあるし、それとは別の話としてSFのシート争いは常に厳しいものだが、それぞれの健闘を祈りたい。

また、来季SFに新規参戦する「B-MAXレーシングチーム」(#50/ホンダエンジン搭載)の組田龍司代表がランチブレイクに会見を行ない、来季の参戦台数が1台であること、そして今回のテスト参加陣容(佐々木と小暮卓史がドライブ)が必ずしも来季布陣と直結するものではないこと等が語られている。

全日本F3やSUPER GT-GT300クラスの強豪チームでもあるB-MAXは、日産のドライバー育成プログラムとの関係が深いことでも知られる(来季詳細については現段階では未定)。また、組田代表は自身が「DRAGON」の名で全日本F3-Nクラスに参戦している現役ドライバーでもある。来季もDRAGONとしてのF3参戦は継続の意向で、併催になることが多いSFのチーム監督には組田代表以外の人物が就くかたちになるそうだ。

例年、トヨタとホンダは1月末~2月にSFを含むモータースポーツ活動計画を発表するが、その時にどういう新季ラインナップが出揃うのか。既存選手の移籍の動きや、海外のシリーズから転身してくる選手がいることも予想されるなか、新人&復帰候補たちを含めたこのオフのSFストーブリーグにはいつも以上に熱くなりそうな気配が漂っている。

《遠藤俊幸》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集