2014年、IDEMITSU Honda Team ASIAに移籍した中上。しかし、そこにはこれまでにない苦悩が待ち受けていた。「2014年は、本当に厳しいシーズンでした。ポールポジションも獲れず、表彰台に立つことすらできませんでした。一生懸命に走っても、まったく結果がついてこない。そして2015年は、少しは良くなったけれど、理想にはほど遠い状態でした。悩み続けた2年間で、解決策もなく、ただレースに出場しているだけという感じで本当に辛かった」(中上)。
迎えた2016年、チーフメカニックがスペイン人のファウスト・ベンチベンニに代わり、これが中上の再浮上のきっかけとなった。「元々はサスペンションメーカーの人で、今年からIDEMITSU Honda Team ASIAに来てもらいました。当然、サスペンションの情報をたくさん持っているのですが、何よりも常に冷静に物事の状況判断ができる人で、とても相性がいいんです。僕のインプレッションを、僕のライディングスタイルに当てはめながら理解して、そしてセットアップしてくれているので全幅の信頼を寄せています」(中上)。ずれていた歯車が、ようやくかみ合い始め、そしてオランダグランプリで初優勝を達成。いよいよ日本グランプリでの優勝に期待が高まる状況だ。