JR東日本、山田線海岸部の工事状況を発表…震災で運休中

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津波で流失した大槌川橋りょうの様子。倒壊した橋台や橋脚の復旧工事が行われている。
  • 津波で流失した大槌川橋りょうの様子。倒壊した橋台や橋脚の復旧工事が行われている。
  • 宮古市法の脇地区の路盤は復旧工事が進み、まもなく軌道敷設の段階に入る。
  • 山田町の北浜地区ではレールの敷設が進められている。

JR東日本の盛岡支社は9月21日、運休中の山田線宮古(岩手県宮古市)~釜石(釜石市)間について、復旧工事の進ちょく状況を発表した。三陸鉄道が列車の運行を引き継ぎ、2018年度内の再開を目指す。

山田線は、盛岡駅(盛岡市)から山岳地帯を東に進み、宮古駅からは太平洋岸(三陸海岸)に沿って釜石駅に至る全長157.5kmの路線。このうち海岸区間の宮古~釜石間55.4kmは、2011年3月に発生した東日本大震災の津波で線路が流失するなど多大な被害が発生した。現在は岩手県北自動車と岩手県交通の路線バスによる振替輸送が行われている。

山田線全体の1日平均の通過人員(旅客輸送密度)は、JR東日本発足時の1987年度が1119人で、このうち宮古~釜石間は1719人だった。しかし、過疎化の進行に伴い利用者が減少。2010年度は全体で377人、宮古~釜石間は693人まで落ち込んだ。

こうしたことからJR東日本は当初、バス高速輸送システム(BRT)による仮復旧の方針を示していたが、沿線自治体が反発。最終的には宮古・釜石両駅で接続している三陸鉄道が列車の運行を引き継ぐことを条件に復旧が決まった。

発表によると、宮古市内の法の脇地区では盛土と路盤の復旧作業が進んでいる。山田町内では関口川橋りょうの劣化したマクラギの一部を交換し、北浜地区では砕石(バラスト)やマクラギの配置、レールの敷設が行われている。

大槌町内の大槌川橋りょうは倒壊した橋台や橋脚の復旧が進行中。釜石市内の鵜住居片岸地区では盛土が復旧した。

盛岡支社は引き続き海岸区間の復旧工事を進め、2018年度内の再開を目指して工事を進める方針だ。このほか、山岳区間の上米内~川内~茂市間が2015年12月と今年8月の災害で運休中。このうち上米内~川内間は2017年10~12月頃の再開が予定されている。

《草町義和》

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