【SUPER GT 第1戦】コースレコード続出の予選、制したのは平川亮&ロシター組レクサス RC F

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#37 レクサスRC F(GT500クラス予選1位)
  • #37 レクサスRC F(GT500クラス予選1位)
  • ポール獲得を喜ぶ#37 RC F陣営。中央左が平川、右がロシター。
  • #25「86 MC」(GT300クラス予選1位)
  • GT300のポールを獲得した松井(背)と土屋。
  • #25「86 MC」陣営、左から土屋春雄監督(武士の父)、土屋武士、松井孝允。
  • GT500クラス予選2位の大嶋と脇阪監督(#6 RC F)。
  • #6 レクサスRC F(GT500クラス予選2位)
  • #1 GT-R(GT500クラス予選3位)

2016年のSUPER GTシリーズが開幕。岡山国際サーキットでの第1戦は9日、公式予選が行なわれ、GT500クラスでは平川亮とJ.ロシターのコンビが走らせるKeePer TOM'S RC Fがポールポジションを獲得した。GT300クラスのポールはVivaC 86 MCの土屋武士&松井孝允。

この週末の天気予報は概ね良好な岡山国際サーキット、実際に予選日の天候は晴れに恵まれた。GT300クラスのアウディ勢に大会欠場が1台あり、今回の参加はGT500が全15台、GT300は29台の計44台というかたちで戦いが始まる。さらに1台のアウディが午前の公式練習から出走せず、またSUPER GTマシンが走るコース上にファンを乗せたバスが入る「サーキットサファリ」の最中に#9 GULF NAC PORSCHE 911(阪口良平&吉田広樹/タイヤはヨコハマ=YH)がコース上で出火するアクシデントもあり、GT300の予選出走は27台となった。

クラス別2段階ノックアウト方式予選は午後2時50分にスタート。今年もGT300クラスのQ1、GT500のQ1、GT300のQ2、そしてGT500のQ2という順番で実施されていく。Q1通過台数はGT300が昨季より1増の14台、GT500は変わらずに8台。そして昨季との最大の違いは、各クラス予選1位のドライバーたちにはドライバーズポイント「1」が与えられることである。だからというわけではないが、両クラスともコースレコード続出の激闘が展開された。

GT500はQ1でホンダNSX-CONCEPT-GT勢5台が全滅、11~15位と下位を占めてしまう。ノンハイブリッドとなっての初戦、ホンダ勢には厳しい結果である。Q2には5台のレクサスRC F(ブリヂストン=BS 4台、YH 1台)と3台の日産GT-R(ミシュラン=MI 2台、BS 1台)が進出。

#6 WAKO'S 4CR RC F(大嶋和也&A.カルダレッリ/BS)の大嶋が1分18秒571でトップに立ち、さらに翌周1分18秒268までタイムを詰めるが、これをひっくり返したのが#37 KeePer TOM'S RC F(J.ロシター&平川亮/BS)の平川だった。1分18秒126を叩き出し、自身2年連続の開幕戦ポール奪取を果たす。

僚友ロシターからも「ここの王様」と評されるくらい、隣県(広島)出身の平川にとって岡山は「レースを始めた頃から走りこんでいますし、誰よりも細かいところまで知っているつもりです」というサーキット。担当エンジニアも「そこに助けられている部分はありますね」とのことなので、短い1周のなかでライバルに差をつける何かを平川は発揮できているようだ。明日の決勝では自身にとって開幕戦2連勝、#37 RC Fとしては開幕戦3連勝を目指す。

平川亮のコメント
「ジェームス(ロシター)も言っていますけど、朝からマシンの調子が良くて、ロングランとかいろいろなことを試して確認もできましたし、そこから予選に向けてステップを上げることもできたと思います。クルマもタイヤも、すべてが完璧で、僕はただ速く走る(ことに集中する)だけでした」

ロシターともども、決勝への備えも盤石であることを窺わせる平川。予選2位に昨年の僚友で、個人としての開幕戦3連勝を目指すカルダレッリの#6 RC Fがいることも興味深いところで、決勝はレクサス同士の熾烈な攻防となる可能性も充分だ。

予選3~4位にはMIを履く2台のGT-R、#1 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生&R.クインタレッリ)と#46 S Road CRAFTSPORTS GT-R(本山哲&千代勝正)がつけた。5位もGT-Rで、こちらはBS装着の#12 カルソニックIMPUL GT-R(安田裕信&J-P.デ.オリベイラ)。6位は#39 DENSO KOBELCO SARD RC F(H.コバライネン&平手晃平/BS)で、NSX最上位は11位の#15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT(武藤英紀&O.ターベイ/BS)。

GT300クラスはFIA-GT3車両、JAF-GT300車両、さらにJAF-GTのなかでもマザーシャシー(MC)使用車と、車両規定の素性的に大きく3つのグループに分けられるが、今季はFIA-GT3車両を中心に新車ラッシュ。それらは「参加条件」(いわゆる性能調整と考えていい)の設定によって性能均衡化が図られているわけだが、接戦のなかでどういう勢力図となるかは実戦が始まってみないと分からない面も多い。

タイム面のレベルアップも著しい状況となったなか、Q1では昨年の王者陣営#0 GAINER TANAX GT-R(A.クート&富田竜一郎/ダンロップ=DL)が17位で脱落。期待のニューカマー、ランボルギーニ・ウラカンGT3勢もQ1で全滅するなど、やはり一筋縄ではいかない戦い模様が展開されていく。

そんな激戦のなかでポールを獲得したのは、本格導入2年目のMC車両、昨季1勝を挙げている#25 VivaC 86 MC(土屋武士&松井孝允/YH)だった。Q2残り2分ほどのタイミングで土屋が1分25秒586というクラス新レコードタイムを記録すると、それを超えるマシンは出現しなかった。

#25 VivaC 86 MCは岡山の公式テストでクラッシュがあり、修復したマシンを次の富士公式テストになんとか持ち込んで再起したが、土屋は「そこで(マシンを速く仕立てるための)ヒントを見つけることができました」という。その方向性を活かしての岡山入りで見事結果を出しただけに「(クラッシュ以降の流れは)有意義でした」と、仲間とともにしてきた苦労を最高に“評価”。決勝では昨年のSUGO戦以来となる勝利を狙う。

GT300の予選2~6位は以下の通り。

2位 #65 LEON CVSTOS AMG-GT(黒澤治樹&蒲生尚弥/YH)
3位 #7 Studie BMW M6(J.ミューラー&荒聖治/YH)
4位 #61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人&山内英輝/DL)
5位 #11 GAINER TANAX AMG GT3(平中克幸&B.ビルドハイム/DL)
6位 #21 Hitotsuyama Audi R8 LMS(R.ライアン&藤井誠暢/DL)

質、量とも充実のFIA-GT3新車勢が多い印象だが、JAF-GT勢も4位にBRZが食い込んでおり、ポールのMC車両を含めた戦いが決勝でどう推移するのか、GT500同様に注目されるところだ。

SUPER GT開幕戦「OKAYAMA GT 300km RACE」の決勝は、明日(10日)の午後2時40分にパレードラップスタート予定。全長3.703kmのツイスティなテクニカルコースを82周して、今季最初のウイナーの座、すなわちノーハンデ戦での勝利という栄誉を争う。

《遠藤俊幸》

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