パナソニックは3月31日、事業方針説明会を開いた。その中で、津賀一宏社長は創業100周年を迎える2018年度に売上高10兆円を目指す目標を撤回、8兆8000億円に下方修正し、「利益重視の経営に転換する」と述べた。
その理由について、「10兆円という目標はすべての従業員が一緒になって成長を考えていくということがベースであり、成長戦略を活性化するためには明確な目標と時期が必要だった。そのために掲げたものである。しかし、2015年度見通しの下方修正によって、発射台が下がってしまった。成長戦略を継続しながらも、より具体的なターゲットに変更した」と津賀社長は説明した。
思い起こせば、2年前の3月27日、津賀社長は「今回はなんとしても達成したい」と話し、「今回は何をやってはいけないかが見えている。それに世の中の成長に合わせたところにリソースしている」と、売上高10兆円の実現に自信を見せていた。
これによって、売上高10兆円というパナソニックの3度目の挑戦は失敗に終わった。業界関係者の間では「やっぱり」という声が少なくないが、津賀社長には最後まであきらめずにやり切る思いはなかったようだ。会見会場の壁には「全員で、やり切る経営」「現場力で成長を加速」と書かれたスローガンが額に入れて飾られたあったが、その言葉がむなしく見えた。