JR唯一の急行『はまなす』がラストラン…北海道から夜行列車が消える

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札幌駅3番ホームに進入する最後の急行『はまなす』。最終列車は上下ともDD51形による重連で、編成も同一だった。
  • 札幌駅3番ホームに進入する最後の急行『はまなす』。最終列車は上下ともDD51形による重連で、編成も同一だった。
  • 札幌駅4番ホームに進入する上り最終『はまなす』。
  • 手製のグッズで別れを惜しむファンも多かった。
  • 最後の開放式B寝台車にも惜別のサインが。
  • カメラの放列に囲まれる上り最終『はまなす』の最後尾。
  • 見納めとなる「急行」表記をカメラに収めるファン。
  • 手製のヘッドマークと行先表示幕を掲げる人。
  • 青森へ向けて出発する上り最終『はまなす』。

1988年3月の津軽海峡線開業以来、青森と札幌を結んでいた急行『はまなす』が、青森3月21日発の下り列車を最後に運行を終了した。これによりJR線上から定期の急行列車がすべて姿を消した。

『はまなす』の名は、国鉄時代、網走方面への優等列車に命名されていたが、1968年10月のダイヤ改正で消滅。津軽海峡線の開業に際し、新たに青森~札幌間に設定される客車急行に再び名付けられるようになった。

運行開始当初は14系客車によるオール座席車編成だったが、1991年7月からはB寝台車を、1993年3月のダイヤ改正からは、それまで札幌~釧路間の急行『まりも』に使われていたリクライニングシート仕様の指定席「ドリームカー」をそれぞれ連結した。続いて、1997年3月のダイヤ改正からは、カーペット仕様の指定席として「のびのびカーペット」車の連結を開始し、『はまなす』のスタイルが確立した。1990年度からは多客時に秋田までの延長が始まり、1996年度まで続けられていた。

列車の廃止が発表されたのは2015年9月のことで、『はまなす』を函館~青森間でけん引するED79形電気機関車が、北海道新幹線(3月26日開業予定)と線路を共用する青函トンネル区間で新幹線用の電圧に対応していないこと、使用していた14系客車が製造から40年余りが経過し劣化が極度に進んでいたことなどが廃止の決め手となった。

『はまなす』の運行終了により、明治時代の1911年7月以来、北海道内で運行されていた寝台車の歴史にピリオドが打たれるとともに、北海道における夜行列車や本州~北海道間直通列車の歴史も終焉。開放式B寝台車を連結した列車もJR線上からすべて姿を消した。残るB寝台車は東京~出雲市・高松間で運行されている特急『サンライズ出雲・瀬戸』のみとなるが、こちらはすべて個室となっている。

3月21日発下り最終『はまなす』の編成は、翌22日の札幌到着時点で次の通りだった。通常、函館~札幌間はDD51形ディーゼル機関車1両が7両の客車をけん引しているが、この日は客車を増結して11両とし、機関車も2両となった。札幌3月20日発の上り最終列車も札幌発車時点の機関車・客車は同一だった。

DD51 1093
DD51 1140
スハフ14 506(指定席)
オハ14 531(指定席)
オハ14 504(指定席)
スハフ14 501(指定席)
オハ14 508(指定席・ドリームカー)
オハ14 505(指定席・ドリームカー)
オハ14 515(指定席・のびのびカーペット)
スハフ14 557(指定席)
オハネ24 503(B寝台)
オハネ25 15(B寝台)
スハネフ14 551(B寝台)

上下とも最終列車は全車指定席となったため、3月20日には上り『はまなす』の4分後に自由席客を救済するための臨時急行が札幌発~東室蘭行きで運行、車両は「ニセコエクスプレス」が使用されている。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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