ホンダのニューモデル『CRF1000L アフリカツイン』は、完全新設計の直列2気筒998ccエンジンを積む。
ボア×ストローク:92.0×75.1mm、最高出力68ps/7500rpm、最大トルク95kg-m/6000rpmを発揮。そのニューエンジンの開発設計を担当したのは、本田技術研究所二輪R&Dセンターの飯田晃祥氏だ。
2月中旬、福島県いわき市のモトクロスコース、モトスポーツしどきでおこなわれたメディア向け試乗会/技術説明会で、話を聞くことができた。
1988年にホンダが世界に先駆け、アドベンチャースポーツというコンセプトでリリースし、世界的にヒットしたアフリカツインは、V型2気筒エンジンを搭載していたが、新型では並列2気筒。Vツインにこだわりはなかったのか。
「過去にとらわれないエンジン選定でした。形、大きさ、重さ、必要なスペック、全体のパッケージの中でベストだったのが、Vツインではなく並列2気筒です」
「熱烈な人気がある前作のファンが求めていたのは、オフロードで感じられるトラクション性能とパルス感でした。Vツインにこだわる必要はないと思い、そこで考えたのが、不等間隔爆発の270度位相クランクです」
軽量でコンパクトなパッケージを実現しているのも、大きな特徴だ。
「ユニカムバルブトレインを採用することで、コンパクトなシリンダーヘッドを実現しています。また、クランクケース内蔵オイルタンク式ドライサンプ構造や、クラッチケースにウォーターポンプを内蔵することで、クラストップレベルの最低地上高を実現するのに貢献しています」
軸配置を何十回、何百回とやり直して基本のエンジン設計を練り上げた飯田氏。長距離走行でも快適なパワーフィーリングと、オフロードでのトラクション性能、パルス感を高い次元で持たせたパワーユニットに仕上がったと、自信を見せる。