日銀史上初、世界でもまれにみるマイナス金利は、その効果も副作用も手探りだ。マイナス金利が実際された16日、会見に臨んだ麻生太郎財務相は記者を目の前に、こう皮肉ってみせた。
「みなさんの情報にごまかされないことですな。わかってない人が書いてるんだから」
市場はその判断を目まぐるしく変えている。乱高下を繰り返す株式市場や為替市場にも麻生氏は落ち着きを求めた。
「新しい政策を取り入れたら2、3日の短期でものを見るものではない。デイトレーダーならともかく、普通の人ならその効果が出るまで少々時間をもって見守っていくという姿勢が必要なんじゃないかな」
さらに、国民の貯蓄中心の資産運用の変化にも期待した。
「金融資産1360兆円のうち880兆円が現預金ですから。マイナス金利付きの量的・質的金融緩和はイールドカーブ(利回り曲線)を長期・短期全体にわたって引き下げる。そのことが消費や投資にプラスに働くと日銀は期待しているのだろうし、我々も期待している」
日本自動車工業会の池史彦会長は、マイナス金利導入で「企業は資金調達しやすくなるのではないか」と歓迎の意向を示した。政府は異次元の挑戦でデフレ脱却を目指すが、迫る春闘に影響を与えるような大きな変化は起きるのか。