エンジンのなかで抵抗となっている原因のひとつにエンジンオイルの存在がある。エンジンオイルは潤滑という抵抗を減らす役割を担いながらも、じつは抵抗の原因でもあるのだ。
とくに一般的なウエットサンプと呼ばれている潤滑方式を採用するエンジンの場合は、エンジンオイルをつねに攪拌している状態となるので、その抵抗は見逃すことができない。そこで重要となってくるのが、エンジンオイルの粘度だ。
粘度が高いつまりオイルが硬ければ当然、抵抗は大きく、オイルが軟らかければ抵抗は低い。エンジンオイルの粘度は低温時と高温時のどちらでも低いほうが抵抗にならないが、もちろん油膜切れが起きるような低さでは話にならない。トヨタの『プリウス』などは「0W-20」といったように低温時も高温時のどちらも非常に低い粘度のオイルが使われているが、こうした高性能なオイルをラインアップするオイルブランドは少なく、0W-20についてはトヨタ純正のほかにはカストロールなどが用意している程度だ。
エンジンにはそれぞれ特性があり、その特性に合わせたオイルがチョイスされている。プリウスのようなハイブリッドモデルは、エンジン回転が高くなることもなく、高回転で長い時間使われることもない。オイルもそうしたことを考慮して選ばれているので、ハイブリッドだからといってどのクルマでも同じオイルが使えるわけではない。基本は指定されているオイルの粘度を守ることが大切だ。
また、エンジン回転を上昇させないように使うので、軟らかいオイルを入れたいという考えを持つ人がいるが、これもトラブルをまねくことがある。
エンジンはさまざまな部品が組み合わされているが、エンジンオイルが介在する部分はすべてガスケットやオーリングなどのパッキンを介して組み付けられてることが基本となっている。このパッキンも設計時のオイルの粘度に合わせているので、指定のオイル粘度よりも低いものを使うとオイルがにじみ出てしまうことがある。これはヒストリックカーなどにも共通することで、むやみに軟らかければいいというわけではない、ということを覚えておいてほしい。