トヨタ自動車の豊田章男社長は11月6日、エアバッグを膨らませる部品のガス発生剤に硝酸アンモニウムを用いたタカタ製インフレーターの使用を止める方針を明らかにした。ただ代替品に関しては、安全性が確認できればタカタ製を排除しないとの考えも示した。
豊田社長は同日都内で行った人工知能技術に関する会見で、記者からの質問に対しコメントし、「最も大切なことはやはりお客様の安全、安心を第一優先にするということ。そのために一刻も早い真因究明に向けて徹底的な調査を継続する。ずっと言い続けていることだが、それが今回のタカタ問題でも同じことだと思う」とした上で、「トヨタはタカタ製の硝酸アンモニウムタイプのインフレーターは今後使用しない」と述べた。
硝酸アンモニウムを使ったタカタ製のインフレーターを巡っては、米高速道路交通安全局(NHTSA)が11月3日、長期的な性能に自信がもてないとしてタカタに対し製造、販売を段階的にやめるよう命じた。これを受けてホンダや富士重工業では開発中の車両にタカタ製部品を採用しない方針を表明している。
トヨタは11月5日の決算会見の席上では、早川茂取締役専務役員が「エアバッグのインフレーターについては生産中、開発中のモデルを問わずにより良いものを採用していきたいと考えている」と述べるにとどめ、タカタ製部品の使用を続けるか否かは明言していなかった。
今回の豊田社長のコメントは、前日から一歩踏み込んだ形となる。さらに豊田社長は「ただ、タカタ製であったとしても、その他のタイプのインフレーターであれば、安全性が確認できれば、その時は是々非々で考えていきたいというのが現時点での答え」とも語り、代替品に関しては安全性に問題がなければタカタ製も調達先の候補になり得るとの見方を示した。