ぱっと見も、運転席に座ったときのインテリアの雰囲気も、ほとんど同じように見える『グランツアラー』と『アクティブツアラー』である。
決定的な違いはもちろん、グランツアラーが3列シートの7人乗りであること。そして、3列の車内スペースをとるために、ホイールベースが110mm、長いことである。
3列シートのミニバンは、日本車の得意部門ともいえる。いかに3列目にアクセスしやすくするかのアイディア競争は、正直なところ、日本勢の圧倒的勝利だ。このグランツアラーにしてみても、2列目の背もたれを前に倒し、さらにスライドしなければ入り込めない。2列目にチャイルドシートを装着しっぱなしにたい家族層にしてみれば、使いにくいだろうなあ。
しかし、それとは別に、普段は5人分で十分、でも、いざってときにもう1人分のシートと願う層がいることも事実。彼らのニーズは、「3列目をたたんだときに、荷物がたくさん積めること」だ。3列目はあってもあまり使わないわ、乗り降りしにくいわ、格納しにくくて荷物もつめないわでは、「この役立たず!」と心の中で叱責しまくるしかないからだ。
その点、グランツアラーは、3列目を床下格納するとフラットな荷物スペースになり、さらに2列目を倒すとフラットな面がさらに広がる。人数と荷物の量と大きさにあわせた組み合わせプランが広がるというわけだ。
エンジンはトルクのあるディーゼル+8速ATで滑らかな加速。ただし、アクティブツアラーに比べて重いことと、ホイールベースが110mm長いことで、ハンドルをきったと同時のクイックな反応はみせない。ゆるやかに、でも、確実に。走りが楽しめる7人乗りなのである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。