「アメリカで成功の光見えた」…孫社長、スプリント事業への自信

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ソフトバンクグループの孫正義社長
  • ソフトバンクグループの孫正義社長
  • 決算報告はPepperが担当
  • 今期は全体に好調な成績を残した
  • グループ企業の米スプリントの経営改善策を発表
  • Yahoo!BBの展開、ボーダフォンの買収は無謀な挑戦だったとしながら、成功を収めたことを強調
  • スプリント事業の本格改善に必要な戦略について語る孫氏
  • 純有利子負債を効果的に圧縮すると宣言
  • 改善への光が見えたことを強調した
 ソフトバンクグループは6日、2016年3月期 第1四半期の決算内容に関する記者説明会を開催し、代表取締役社長の孫正義氏が2013年に子会社化した米スプリントの経営基盤強化策を発表。米国進出成功の意気込みを語った。

■グループの決算内容はPepperが報告

 はじめに四半期の決算内容に関する報告が行われたが、壇上で詳しい説明を行ったのは孫社長ではなく、同社のパーソナルロボットであるPepper(ペッパー)だった。「私以外が当社の決算内容を説明するのは初めての機会」という、Pepperが詳細を説明した。

 壇上に上がったPepperは「孫社長にムチャ振りされちゃったPepperです。これでまた僕に“世界初の決算報告をしたロボット”という肩書きが増えましたね。10月の社会人デビューに向けて自信が付きましたー」とコメントした後で、ソフトバンクグループの決算内容の説明をはじめた。

 売上高は前年度比で9.8%増となる2兆1,390億円を達成。全てのセグメントで売上高が増え、スマートフォンやタブレットなどが含まれる国内通信事業が好調に推移。売上高は前年同期から459億円・6.9%増加して712億円となった。またスプリント事業については為替の影響が貢献している。

 営業利益は前年同期から242億円・7.6%増加し、3,435億円を計上。EBITDA(減価償却前営業利益)は11%の増加。Pepperは「順調に伸びていますね。成績が良いと僕も嬉しいです」とプレゼンテーションシートにコメントを付け加えた。さらに純利益は前年同期から1,358億円・175%増加となる2,134億円を計上している。Pepperは「昨日は土用の丑の日だったけど、まさに“ウナギ登り”ですねー」と冗談を飛ばした。

 なお、ソフトバンクは今年の7月1日付で社名をソフトバンクグループに変更。さらに4月1日付でソフトバンクBB、ソフトバンクテレコム、およびワイモバイルを吸収合併したソフトバンクモバイルがソフトバンクへ社名を変更している。Pepperは「今まで4つに分かれていた国内の通信会社を一つにまとめて、これまで以上にみんなで団結して、モバイルインターネットNo.1のコア企業を目指します」と力強く語った。

 1契約当たりの月間平均収入(ARPU)については今後Yahoo! JAPANと協力しながら、新しい顧客体験の提供、成長領域を開拓しながら拡大を目指すという。

 Pepperはさらに「もちろん反省しなければならないこともたくさんあります」と前置きして、「解約率」が他社に比べて少し高いことを言及。「原因を徹底解明して、ライバルより低くなるよう毎日努力していきます」とした。さらにソフトバンク光のサービスについても触れ、「累計契約数が7月末までに54万件になりました。これからはソフトバンク光がお客様の解約率低下と利益の拡大に貢献していきます」とコメントした。

 設備投資については接続率No.1を達成したため一段落。Pepperは「これからはフリーキャッシュフロー創出のステージです」と宣言した。

■スプリントの立て直しに向けて光が見えた

 Pepperが降壇した後、続けて孫社長がソフトバンクグループの今後の成長戦略について語った。本日の説明の大半はグループ企業である米スプリントの立て直しに関するものだった。

 孫氏は冒頭、2001年当時にネットバブルが崩壊した直後、Yahoo!BBを立ち上げ、固定ブロードバンド市場に進出したこと、さらには2006年にVodafoneを買収しモバイル通信事業市場に進出したことについて、それぞれを「無謀な挑戦だった」としながら、それぞれが現在のソフトバンクの成長の下地になっていることを強調。そのうえで、「やっと軌道に乗ったのに、また“無謀な挑戦”に敢えて挑むのがソフトバンク流。3年間前にさらなる成長を求めてアメリカへ進出した」と振り返った。

 ところがスプリントの買収に続いて着手したT-Mobile USAの買収を断念。孫氏は「米国3位と4位の通信事業者を足して、Verizon、AT&Tに続く“第三極”を作ろうという戦略は、米国の許認可が降りないため上手くいきそうもないということがわかり、昨年の冬あたりに、私は一度すっかり意気消沈しかけた」としながら、続けて「でも私はあきらめなかった。スプリントのスタッフたちと、毎晩日本時間の22時~午前2時まで電話会議を繰り返しながら、私自らが陣頭指揮を執って次世代のスプリントのネットワーク設計について、ようやく道筋が見えてきた」と語気を強める。

 孫氏は「スプリントの立て直しは、ソフトバンクが日本で成功してきたモデルを当てはめることで再現できると確信した」と述べる。具体的にはまず営業費用の大幅削減を図るとともに、最小限の設備投資で最強のネットワークを作るための道筋が、スプリントの経営者やエンジニアと喧喧諤々を続けてきたことによって見えてきたと孫氏は語る。

「潤沢な資金を持って投資ができれば事は簡単だが、ソフトバンクが歩んできた道のりは険しいものだった。当初、私たちはつながりにくい電波しか許認可を得られなかった。そこをいくら説明、主張しても負け惜しみと言われてしまうので、私たちは歯を食いしばって頑張りながら、何とかつながりやすくなるようにさまざまな工夫をしてきた。3年前に900MHzのプラチナバンドをやっと手に入れた結果、今までの細かいノウハウの積み上げが一気に花咲いて、いまや接続率、スピードともにナンバーワンになれた。日本と同じ成功のパターンを、そのままスプリントに提供できると考えた」

 営業費用の圧縮施策はソフトバンクがスプリントを買収してから着実な成果を上げ、スプリントの企業体質として徐々に浸透しはじめているという。さらに顧客獲得の強化も図る。孫氏はこう説明を続ける。

「日本ではソフトバンクが世界に先駆けて、携帯電話端末の割賦販売という施策を編み出した。いまでは他社がこれを模倣するまでになっているが、この割賦販売により解約率が下がり、端末を半年周期で乗り換えるような変な使い方をされることもなくなった。スプリントではリース販売という売り方が効果を発揮すると考えている。そのためには元手となる資金が必要になので、リースファイナンスでまかなう手法を採るための準備をしているところだ」

 孫氏はスプリントの純有利子負債を効果的に圧縮すると明言。昨年末に失った自信を、今ではすっかり取り戻したことを強調する。その理由はスプリントを立て直すための実行プランを、スプリントのスタッフとともに構築できたからなのだという。

 孫氏は「マルセロ・クラウレCEOによる新体制に移行して、スプリントは1年間で解約率が低下。顧客品質が改善している。EBITDAや営業利益も改善の兆しが見えている。純利益の面でも出血が止められたので、これからは積極的に純有利子負債を圧縮していくことができる。根本からスプリントを改善したい」と息巻く。

 孫氏は壇上に、トンネルの出口から光が射し込んでいる写真をイメージカットとして紹介しながら、「スプリントの立て直しに向けて、トンネルの無こう側の光が見えた」と表現した。

 「かつてYahoo!BBを立ち上げ、困難の時期から成長軌道に持ってくるまでに約2年ぐらいかかった。いまはその時と同じ感触を得ている。おそらく、今後2年ぐらいでスプリントを大幅に改善できると期待している。それ以後は毎年改善を重ねて、他社を抜くところまで行きたい」と目標を描く孫氏。「今のところスプリントを買いたいという周りからのオファーはないが…」と前置きしつつも、「私はスプリントを売る気はまったくない。買って良かったと正直に思っている!」と言い切った。

 なお、スプリントの次世代ネットワーク構築のための具体策については本日の記者会見で詳細が語られることはなかったが、孫氏は「キーワードは2.5GHz」とした。。

 「2.5GHzは他の電波よりも距離が飛ばないので、数をたくさん打つことになるだろう。ただ、バンド幅が120MHzというユニークなキャラクターを持っているので、これは料理の仕方によっては強力な武器にできる。現在考案しているネットワークのプランは、その特徴を活かした設計になっている。カバレッジを良くするのは当然であり、マストだ。これは800/900MHzで競合社に追いつく。ただ、それだけでは“追い越す”ことまではできない。その鍵は2.5GHzにあると思っている。2.5GHzで他社を上回るスピードとキャパシティを生み出したい。いまアメリカでは4社のネットワークが輻輳(ふくそう)を起こしていて、とてもつながりにくい状況になっている。特に大都市では恐ろしいほど接続品質が低下している。当社がスプリントと作ったネットワークはさくっとつながる。2.5GHzにより、大容量のキャパが持てるものに生まれかわるだろう」と、孫氏は最後に米国進出の成功に向けた抱負を語った。

「米国進出成功の光が見えた」……スプリント事業好転の青写真をソフトバンク孫社長が語る

《山本 敦@RBB TODAY》

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