【VW パサート 試乗】リーズナブルさ際立つ、実用度満点のフラッグシップセダン…青山尚暉

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VW パサート セダン
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『ゴルフ』に続きMQB(次世代プラットフォーム)をベースに開発された新型『パサート』。

まずはゴルフ ハイラインでもおなじみの1.4リットルターボ(形式は異なる)、150psのダウンサイジングユニットを搭載するトレンドライン、コンフォートライン、ハイライン、Rラインを導入。16年にはクリーンディーゼル、PHVもそろうというから楽しみである。

ここで試乗したのはセダンモデル。その走りはゴルフ ハイラインより200kg弱重い1460kgの車重でも相変わらず素晴らしくトルキーでスムーズエンジンがもたらす十二分の加速性能、ゴルフ7と共通するフラットかつしなやかで快適感あふれる乗り味、スムーズで奥行きある安定感に満ちた操縦性が印象的だ。

先代のユーザーなら、同じ1.4リットルターボでも122psから150psに、20.4kg-mから25.5kg-mに増した最高出力、最大トルクをより強く実感できるに違いない。

RラインにOPの19インチタイヤを装着した試乗車はきつい段差の乗り越えではガッというショックを伴うものの、それでも剛性感たっぷりのボディ、シートのダンピングの良さもあって、気になるのはほんの一瞬。ちょっと荒れた路面程度では実にスムーズな走りを見せる(試乗車の中でオススメはコンフォートもしくはハイラインに標準設定の17インチだが。Rラインの18インチは未試乗)。

全長、全高ともにダウンサイズされ、車幅が10mm増しとなったボディーは、速度を上げるほどにドライバーとの一体感が強まり、実際よりコンパクトなサイズに感じられるのもうれしいポイントだ。

特筆できるのは前後席の静粛性の高さ。同じ1.4リットルのターボエンジン(140ps)を積むゴルフと比べ、エンジンノイズはもちろん、特にロードノイズの遮断が見事。上級セダンらしいしっとり、すっきりとした快適感が得られるのだ。

セダンといえば後席の居住性も気になるところだが、ひざ回り空間は身長172cmのリポーターのドライビングポジションの背後で先代が205mmだったものが、270mmまで拡大。よりゆったり足が組めるスペースが確保されている。しかもシートのかけ心地、背もたれの角度が絶妙で心地良く、誰もがVIP気分に浸れるから最高である。

トランクは先代もあきれるほど広大だったが、新型は21リットル増しの586リットルとなり、実用性はさらに高まった。

先進安全装備の進化も目覚ましい。“歩行者検知”自動ブレーキ、ACCを始め、レーンチェンジアシスト、自動ブレーキ世界初の渋滞時追従支援システム、リヤトラフィックアラートと呼ばれるVW初の後退衝突軽減ブレーキも採用する。装備面でも足の動作でトランク/テールゲートを開閉できるパワーテールゲート、マッサージ機能付きベンチレーションシート、後席の空調を独立温度調整できる3ゾーンオートエアコンなど、高級車さながらのアイテムを満載。考えても見れば、パサートはVWの最上級フラッグシップセダンでもあるのだ。

モード燃費はクラス最上級の20.4km/リットル。ライバルより圧倒的にリーズナブルな329万円からという価格も含め、実に経済的でお買い得なセダンでもある。オススメはコンフォートライン。価格対満足充実度がもっとも高いからだ。

ちなみにペットフレンドリー度はセダンゆえ特別に高くはないが、後席座面地上高は約56cmと低めで、大型犬、ジャンプ力のある中小型犬なら楽々飛び乗れる高さである。もっとも、犬と暮らし、ドライブ旅行の機会が多いなら、ヴァリアントを薦める。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
ペットフレンドリー度:★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がけ、犬との自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動も行なっている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

《青山尚暉》

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