欧州で唯一、公的な衝突テストを行うユーロNCAPコンソーシアムは6月24日、フィアット『パンダ・クロス』の衝突安全テストの結果を発表した。最高5つ星のところ、3つ星評価にとどまった。
ユーロNCAPの衝突テストは、前面オフセット64km/h、側面50km/h、ポール衝突29km/h、歩行者衝突40km/hで行う。日本や米国の基準とほぼ同じ、世界で最も厳しい条件で実施される衝突テスト。
2009年2月、ユーロNCAPは新評価システムを導入。評価の項目に応じて、ポイントが配分される。例えば、最重要視される「成人乗員保護性能」には、ポイントの50%を配分。「子ども乗員保護性能」と「歩行者保護性能」には各20%、エアバッグやABS、ESCなどの「安全補助装置の有無」には10%を配分する。
さらに、ユーロNCAP は2015年から、前面フルラップ衝突テストを導入。背の低い女性ドライバーと、後席に乗員を乗せた状態を想定し、テストを行う。緊急回避の自動ブレーキをはじめ、先進の安全装備の有無も、評価基準となった。
『パンダ』のSUV版、パンダ・クロスのテスト結果では、成人乗員保護性能は26.7点。前面オフセット衝突では、運転席側ダミー人形の胸への傷害レベルが、5段階で下から2段階目の「WEAK」。前面フルラップ衝突では、後席乗員の頭と胸への傷害レベルが、5段階で最低の「POOR」。また、追突想定テストは、前後席ともに5段階で上から3段階目「MARGINAL」だった。
また、子ども乗員保護性能は38点。歩行者保護性能は18.3点。安全補助装置の有無は6点を獲得した。
この結果、パンダ・クロスの合計ポイントは89点。総合評価は最高5つ星のところ、3つ星にとどまった。ユーロNCAPは、「エアバッグのガス容量が不充分で、乗員保護性能に影響している」と、コメントした。