『ステップワゴン』がフルモデルチェンジを受け、1.5リットルの直噴ターボ仕様エンジンを搭載するとともに、「わくわくゲート」と呼ぶ自在なバックドアを採用して登場した。
直噴ターボとはいえ、1.5リットルでミニバンの重量ボディを引っ張れるのかと思ったが、意外にというか、当然ながらというか、余裕十分の実力を持っていた。
自然吸気エンジンと比較すると、トルクは2.0リットル並の実力で、低中速域の過渡的な部分では2.4リットル級の性能を発揮する。1700kg前後の車両重量に対しても不満は感じなかった。
特に良いのが加速時だ。自然吸気エンジンだとアクセルを踏み込んで回転が上がらないと加速していかない感じになるが、ターボは低回転域から力強いトルクを発生するので、滑らかに加速が伸びていく。
縦横開きが可能なわくわくゲートは画期的だ。冷蔵庫か何かのドアを思わせるような自在な開け閉めができる。小さな荷物ならドアの一部を少し横開きにするだけで積み下ろしができるし、3列目のシートを床下収納すればこのドアから乗り降りすることも可能だ。
大きな荷物を積むときには従来のように全体を縦開きにすれば良い。ただ、今回のステップワゴンはボディの全高が高くなったことと、わくわくゲートにしたことで、バックドアが重くて取っ手部分が高くなった。小柄な女性には開け閉めがしにくくなったのも事実である。
今回のステップワゴンは、低床・低重心パッケージングを採用するのは変わらないが、全高をやや高くしてホイールベースも延長した。これによって室内空間はグンと広くなった。
室内高は+30mmと全高を高くした分以上に高くなっているし、1列目と3列目の間のタンデムディスタンスはホイールベースの延長分よりも拡大され40mm広くなった。全席に大人快適に座れる空間が確保された。
マジックシートと呼ぶ3列目シートなど、多彩なアレンジが可能で、これもステップワゴンの使い勝手を高めている。
車両価格はかなり高くなった印象がある。標準車のG・EXを選んで、ホンダセンシングやカーナビなどのオプションを装着すると、車両価格ベースで300万円を大きく超えるし、スパーダのクールスピリットでは300万円台後半に達するからだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。