【マツダ ロードスター チーフデザイナーに訊いた】外と内に境界線はない…第4弾

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マツダ ロードスター 新型
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6月に発売予定の新型マツダ『ロードスター』。インテリアもスポーティなデザインだが、ここにもロードスターならではのコダワリがあった。中山雅チーフデザイナーによるロングインタビュー第4弾をお送りする。

◆マツダ・ブランドを象徴する左右対称コクピット

ナビのディスプレイを自立型にすることでインパネ上面を低くして開放感を持たせる一方、運転席には前後方向に軸を通すことでコクピット感を表現する。これは『アクセラ』に始まり、『デミオ』や『CX-3』に受け継がれてきたデザインテーマだ。

アクセラではヘッドアップディスプレイ、単眼メーター、ステアリングなどを一直線にレイアウトして軸を通し、デミオではさらにベントグリルのルーバーをこの軸に対して左右対称に配置した。

「今回のロードスターはマツダ・ブランドを象徴するクルマなので、左右対称の配置にさらにこだわりました。ルーバーは上下位置も左右位置も、完全に対象です。しかもドライバーに向けて角度を付けているので、左右対称に包まれるコクピット感を充分に味わっていただけると思います」(中山チーフ)。

◆ネットシートの特徴を活かす

ドライバー中心に軸を通す、という考え方はシートにも貫かれている。シートのセンターに前後方向にステッチを入れているのだが、それを強調するために幅方向のステッチは省いた。

「ネットシートのおかげで、これが可能になった」と中山チーフ。どういうことか?

シートのバックレストは乗員の背骨のカーブに合わせてS字の断面形状にしなくてはいけない。普通は表皮材を裏で引っ張ってフレームに固定することでS字断面にするのだが、そのためには引っ張るポイントに幅方向のステッチを入れておく必要がある。しかし今回はそれが要らなかった。

新型ロードスターのシートは、フレームにネット素材を張った上に薄いクッションを重ねている。「フレームがS字形状なら、そこに張ったネット素材もおのずとS字断面になるので、幅方向のステッチが要らない。それを活かして、シートにも中心軸を通すことができました」(中山チーフ)

◆外と内に境界線はない

新型ロードスターのインテリアで、もうひとつ特徴的なのはドアの肩口に配されたボディ共色のトリムだ。その狙いを、中山チーフは次のように語る。

「オープンカーのデザインは、オープン状態をデフォルトにしてデザインしなくてはいけないと考えた。従来はドアガラスを境にエクステリアとインテリアに担当範囲が分かれていたけれど、このクルマでは外と内に境界線はない。それがオープンカーのあるべき姿なのだ、という考え方でデザインしました」(中山チーフ)

「実際、ドア肩口のトリムは、エクステリアのデザイナーがデザインしたんです」と中山チーフ。さらに興味深いのは、このボディ共色のトリムが、ドアの開口線を越えてAピラーの根元まで延びていることだ。

「小さなパーツですが、そこにボディ色があることで、インテリアからエクステリアへの連続感を表現できた」(中山チーフ)

運転席から見ると、なるほどドアトリムがフロントフェンダーにつながっているように思える。

「これがあるとないとでは大違い。ボディ色の数だけ部品を用意しなくていけないので、部品の種類が増えて大変なのですが、そこはこだわらせてもらいました」(中山チーフ)

《千葉匠》

千葉匠

千葉匠|デザインジャーナリスト デザインの視点でクルマを斬るジャーナリスト。1954年生まれ。千葉大学工業意匠学科卒業。商用車のデザイナー、カーデザイン専門誌の編集次長を経て88年末よりフリー。「千葉匠」はペンネームで、本名は有元正存(ありもと・まさつぐ)。日本自動車ジャーナリスト協会=AJAJ会員。日本ファッション協会主催のオートカラーアウォードでは11年前から審査委員長を務めている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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