【ホンダ レジェンド 試乗】SH-AWDはさすがだが、顔の押し出し感不足が気になる…青山尚暉

試乗記 国産車

ホンダ レジェンド
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新たにハイブリッド専用車で復活した、ホンダのフラッグシップサルーン『レジェンド』。

そのパワーパッケージは独特で、3.5リットルV6エンジン+モーターを内蔵する7速DTCで前輪を駆動し、左右2つのモーターで後輪を駆動する3モーター方式である。そのシステム出力は382psに達し、例えば2.5リットル直4 エンジン+モーターの『クラウンハイブリッド』のシステム出力220psを圧倒。同、『フーガ』、『スカイラインハイブリッド」の3.5リットルV6+モーターの364psさえ凌ぐのだ。

ガチッと重厚で剛性感あるドアを開け、運転席に着座すれば、左右に弧を描くようなインパネデザイン、助手席と分断されたパーソナル感の強さが印象的。シートは手作業によるミシン縫いの本革のみで、ドイツ車的な硬めの掛け心地。ナビはメーター左上の高めの位置にあり、視認性は文句なし。その下にCDスロット、オーディオのディスプレイが配置される2画面レイアウト。

ユニークなのはギアセレクターで、Dレンジは丸いボタン。P、R、Nもまたすべて独立したスイッチで、使い勝手はともかく、先進感満点だ。始めて扱う人だとリバースの入れ方に悩むかも、だが…。

このクラスのプレミアムサルーンで評価しなければならない後席は、身長172cmのボクのドライビングポジション基準で頭上に110mm(サンルーフ標準装備)、ひざ回りに280mmのスペースがあった。ちなみにクラウンはサンルーフなしで頭上に125mm(サンルーフ装着車だとかなり狭まる)、ひざ回りに190mmだから、後席のゆとりはレジェンドの圧勝と言えそうだ。

後席アームレストを倒すとそこにはオーディオ、独立したエアコン、ブラインドのコントロールパネルが出現。スマートフォンの非接触充電機能まであり、HVならではの電脳サルーンぶりを見せつける。

そうそう、ヘッドアップディスプレーにも注目だ。そこにはSH-AWDの作動がグラフィックで浮き上がる。エンジンがかかると前輪にブルーの前向き矢印が、リヤモーター作動時は後輪にもブルーの前向き矢印が表示される。グリーンの後ろ向き矢印は回生を表している。

走りだしはもちろん、モーターだ。強力なトルクを発揮し、実に落ち着いた重厚かつ滑らかさを極めた加速を開始する。中間加速ではわずかなアクセルの踏み込みでピッと加速Gが立ち上がり、気持ちいい。市街地での乗り心地は、さすがに19インチタイヤを装着するため、この種の国産サルーンとしては硬めだが、路面のザラつきを見事に封じ込めた重厚感あるものだ。

ジェントルにごく普通のペース、ちょっと急いだ程度のペースで走る限りは素晴らしくよく曲がる。山道では軽快感を増し、ほとんどオン・ザ・レールの感覚で行ける。何しろ、SH-AWDは走行シーンによって前輪駆動、後輪駆動、四輪駆動に瞬時に切り替わるのだ。コーナーでは曲がりやすくするため左右輪のトルクを緻密(ちみつ)にコントロールしてくれるのだから、安定感は保証されているようなものと言っていい。

また、レジェンドには、ホンダが特許を持つノイズリダクションホイールが装着される。それはホイールリムの一部に多孔樹脂パネル=レゾネーターを張り付け、段差越えなどでタイヤ内部から発生するパコンとかポンといった騒音を発するタイヤ共鳴ノイズを打ち消し、消音する機能を持っている。レジェンドの静粛性、高級感ある走りのテイストに、ささやかに貢献しているわけである。

このクラスのサルーンでも、1人で運転する時に限り、積極的な走りを楽しみたいという人にも最高のクルーザーになるはずだが、HVだからといって燃費に期待しすぎてはいけない。高速道路を制限速度で走って11km/リットル程度。街乗り、山道では8km/リットル前後になる。

そう、3モーターハイブリッドはあくまで3.5リットルV6エンジンのパワーをアドオンする、前後輪を駆動するパワー指向のシステムということだ。ちなみに下記の「オススメ度」が星3つなのは、国内外のライバルに対して、顔のデザイン性、押し出し感が不足していることによる。このクラスのサルーンは、顔もまた命なわけで…。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
ペットフレンドリー度:★★


青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がけ、犬との自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動も行なっている。
《青山尚暉》

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