具体例では、イタリアのフィアット(Fiat)が、スマートカーの販売に自動車分野での新たな成長の機会があると捉え、TomTom、ロイター、フェイスブック、チューンインラジオ(Tune In Radio)と提携して独自のプラットフォーム「ユーコネクト(U connect)」の構築に取り組んでいる例が挙げられた。ユーコネクトは「フィアットクライスラー・グループのクルマに搭載され通信機能はもちろん、エンターテイメント機能も兼ね備え、一方でドライバーの集中力を高めるナビゲーションシステムとして、快適な運転環境を提供」しているという。
「個」客体験をもたらすインターネット(The internet of Me)とは、立花氏によれば、限りなくカスタム化された世界を意味し、インターネットは「私」の文脈まで理解するようになるという。個々人にカスタマイズされたサービス提供のためには個人データを活用することが必要だが、そのための個人データの取得に際して、単一企業内でのデータ共有については67%が許可する一方で、サードパーティも含めたデータ共有について許可する人は3割にも満たない。したがって今後個人データ共有におけるこのような意識の差を認識したうえでのセキュリティ・プライバシー・透明性の確保に取組む必要性がある。「個人データの活用には、信頼関係の構築が必要不可欠となってくる」(立花氏)。
プレゼンテーションではタイヤのデジタル化で成果ベースを実現した例が挙げられた。フランス大手タイヤメーカーのミシュラン(MICHELIN)は、運送会社向けに実際の走行距離に基づきタイヤのリース料金を請求する「サービスとしてのタイヤ(PAY BY THE MILE)」を提供。従来のビジネスではタイヤ、というものを売っていたが、タイヤ×IoTによりセンサーを埋め込み、利用状況を収集分析することで走行距離(成果)に応じて課金するシステム(経済)を実現している。