JR九州は11月27日、筑豊本線若松(北九州市若松区)~折尾(八幡西区)間に「架線式蓄電池電車」を14両(2両編成7本)導入すると発表した。2016年秋からの営業運転開始を目指す。
同社は非電化区間を走行する気動車に代わる次世代車両として、蓄電池で駆動する車両の開発を進めてきたが、このほど量産車の製作に着手することを決定。2016年秋に2両(2両編成1本)を先行投入し、翌2017年春には12両(2両編成6本)を導入する計画だ。
JR九州の蓄電池電車は、電化区間では架線から供給される交流電力で走行。さらに走行・停車中に架線からの交流電力を変換して蓄電池に充電する。一方、非電化区間では集電装置(パンタグラフ)を下げ、蓄電池の電力で走行。ブレーキ時にモーターを発電機として作動させることで発生する電力(回生電力)も蓄電池に充電する。設計最高速度は120km/hで、蓄電池は高電圧・大容量のリチウムイオン電池を採用。1編成あたりの車両重量は70tになる。
筑豊本線は若松~折尾~直方~桂川~原田間91.9kmを結ぶJR九州の鉄道路線。このうち折尾~桂川間は交流2万Vの電化区間となっており、桂川駅で接続している篠栗線を含む「福北ゆたか線」として一体的に電車が運転されている。
一方、非電化区間の若松~折尾間10.8kmは「若松線」を名乗り、現在は福北ゆたか線内の直方駅に乗り入れている一部の列車も含め、全て気動車で運転されている。JR九州は、若松線の距離が車両に搭載する蓄電池の容量に適していることや、電化区間への直通運転などのメリットがあるとして、若松線を蓄電池電車の導入路線に選んだとしている。
同様の方式の蓄電池電車は、東北本線・烏山線の宇都宮~烏山間で運用されているJR東日本のEV-E301系があり、直流電化区間の宇都宮~宝積寺間で架線から電力の供給を受けて走行・充電している。交流電化区間に対応した蓄電池電車を導入するのは、JR九州が日本で初めてになる。