【MINI クーパーS 5ドア試乗】使い勝手で選ぶならやっぱりこっち…中村孝仁

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MINI クーパーS 5ドア
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  • ステーを出すことで、リアシートの背もたれを直角に固定できる。

MINIハッチバックに待望の5ドアモデルが誕生した。と言っても単に5ドアといえばすでに『クロスオーバー』があるのだが、今回は従来の3ドアを5ドア化した、言わばミニの原点から作ったモデルであることが大きな特徴だ。

しかしながら、5ドアを見て感じたことは、ミニのデザインはやはり3ドアが基本なのだということ。今回の場合、ホイールベースを70mm伸ばし、全長では165mm拡大。さらにリアオーバーハングを95mm、全高を15mmそれぞれ拡大している。あえてテールゲートの傾斜をきつくして、全体的なバランスを取り、デザイン的破たんを招かない策が取り入れられている。だからまとまりとしては非常に良い(と思う)。しかしそれでもバランスはどちらが良いかといわれたら、個人的には3ドアを挙げる。

それはともかくとして、クロスオーバーではミニとしてはデカすぎ。かといってサイドに4枚のドアが欲しいという切実な願いは、かなりの数のユーザーからあったようだ。それをかなえてくれるモデルがこれである。

エンジンは『クーパー』用の1.5リットル3気筒ターボと、『クーパーS』用の2リットル4気筒ターボの2種類。価格は前者が298万円。後者が350万円で、その差52万円なのだが、実はクーパーSにはナビが標準装備される。それにLEDヘッドライトやセンターアームレストなども標準で、これらをクーパーにオプションで追加すると、実はエンジンの価格差が非常に小さくなる。というわけで、今回はクーパーSに敢えて試乗することにした。

MINIをどのように使いたいかによってチョイスするモデルが違ってくる。もっとも多くの人はこれ1台で用を足すはずだから、何を重視するかでチョイスが決まると言い換えた方が良い。ミニというモデルを楽しんでみたいという人は3ドアの『ワン』が良いと思う。ミニで本格的なゴーカート気分を味わいたいというのであれば、『JCW』。そして家族で遠出もしたいし、時々ゴーカート気分の味わいたい。また時にはゴルフにも…などという欲張りな人にはもちろんこのクーパーS5ドアだ。

見た限り、リアドアのサイズはかなり小さい。当然開口部も小さく実際に乗降してみると、少々苦しい。しかし、インテリアに収まってしまえばレッグスペースは3ドアより40mm拡大していて、それなりのスペースがある。若干着座位置が高い気もするが、恐らくはそれが15mm上に伸びた理由だろう。少しずつスペースを稼いでいるのがわかる。ラゲッジスペースも67リットルとわずかだが増えている。それに、リアシートを直角に固定してさらに少しだけラゲッジスペースを増やす工夫もされている。『オースチン』の時代からミニは空間の魔術師のようだったが、その伝統はこの5ドアにもしっかりと受け継がれている。

試乗車には18インチの大柄なオプションホイールが装備されていたが、乗った限りそれで乗り心地がスポイルされている印象は皆無。それにドアが増えたことによる剛性感の減少も全く感じられない。相変わらず非常にカチッとした強固なボディと、シャープなハンドリングは健在である。そしてやはり4気筒ターボによるパフォーマンスは、3気筒を圧倒する。性能だけで選ぶなら文句なくこちらだ。燃料タンクも4リットルほどクーパーSの方が大きいから、クーパーとさほど変わらない航続距離は確保されているはずだ。リアシートは6:4分割可倒式で、シートを倒してもフルフラットにはならないが、かなり大きなスペースを得ることが出来る。さらにリアシートを直角に立てて止めるステーが付いていて、ほんの少しだけスペースを稼ぎたいという時は使えそうだが、その出番がどんな時にやってくるのかは想像がつかなかった。いずれにしてもドアが5枚あることによる利便性の向上は間違いなく、ミニでもこれ1台あれば…という役に立つモデルがまた1台増えた。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来36年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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