【マツダ アクセラ 試乗】スポーツ XD、ディーゼルは日本市場の市民権を得たか?…中村孝仁

試乗記 国産車
マツダ・アクセラスポーツ XD
  • マツダ・アクセラスポーツ XD
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"SKYACTIV TECHNOLOGY"(スカイアクティブ・テクノロジー)という、マツダの最新技術が快走している。 特にディーゼルエンジンの評価が高い。今やマツダを代表するこの技術を搭載した『アクセラスポーツ』に試乗した。

ほんの10数年前までは、ディーゼルといえばカラカラと音がうるさく軽油独特の匂いがともない、しかも加速すると黒煙を吐きおまけにその加速は鈍いと、およそ乗用車には不向きなエンジンであった。ただ唯一、耐久性があって燃費が良いために、ヨーロッパの長距離移動者の間では重宝がられていた。

そのイメージを根底から覆す技術として注目されたのが、コモンレール式燃料供給システム。これが初採用された乗用車はアルファロメオ『156』であった。そしてこの技術の確立で、ディーゼルのクリーン化が一気に加速。同時に高性能化にも拍車がかかり、少なくともヨーロッパにおいてはディーゼルが性能面でもガソリン車を凌駕するようになったのである。その典型的事例がルマン24時間耐久レースでのディーゼル車の勝利で、最早ディーゼルは明確にガソリンと同等以上の性能を出せることが証明されたのだ。

しかし日本はディーゼルに対するイメージが悪く、メーカーも開発に乗り気でなかったからか、ディーゼル乗用車は全需要の0.1%程度まで落ちた時期もあった。しかし、このマツダのSKYACTIV技術が再びディーゼル乗用車市場のシェアを引き上げている。

では、この技術の特徴はどこにあるか。端的に行ってエンジンの圧縮比がガソリン車並みに低いという点だ。

ディーゼルはガソリン車と違ってプラグによる着火ではなく、空気の圧縮熱を利用して自然着火させる。このため圧縮比を高くせざるを得なかった。しかもそのためにエンジン本体の強度を高める必要があって、結果としてエンジン自体が高価になっていた。

マツダは圧縮比を14という極めて低い値まで下げても性能を維持できるディーゼルを作り上げた。これがSKYACTIVである。ちなみに同じSKYACTIVのガソリン車は圧縮比13だから、ほとんど差がないことがわかる。

ではその低圧縮比によるメリットはというと、まずディーゼル特有のカラカラ音が小さくなり、全体として騒音が低減する。次に強度を上げる必要がなくなるので、アルミなど軽量な部品でエンジンを生産でき、ここでも低燃費化を実現できる。

もともとディーゼルはガソリン車よりもエネルギー変換効率が高く、だから燃費が良かった。そしてSKYACTIVのディーゼルは、後処理をしなくても排ガスが綺麗だという大きなメリットをもたらしている。だから世界中から注目されているのだ。

すでに『CX-5』、『アテンザ』とこのディーゼルを搭載したモデルに試乗して良さを味わってきた。アクセラに搭載した場合どうか。同じエンジンを積むアテンザやCX-5より車重が60kg~70kg軽くなる。当然同じエンジンなのだから燃費、性能共に向上する…といいたいところなのだが、なぜかJC08モードの燃費はアテンザの方が上なのだ。少々解せない。しかもギア比はファイナルまで含めて全く同じなのだ。

ということは、エンジンのコンピューターマッピングの違いで、アクセラがよりスポーティに走るようにしているということになる。アクセラスポーツと名付けられているが、まさにスポーティーな走りこそ、このディーゼルに与えられた特性だと言えよう。

それにしても最大トルク420Nmは伊達ではない。同じ程度の最大トルクを持つガソリン車を探してみると、アウディ『S4』( 440Nm)、BMW『535i』(400Nm)といったところが出てくる。いずれも6気筒エンジン搭載車だから、いかにアクセラのトルクが太いかわかるだろう。おかげで普通に走る限りタコメーターが2000rpmを上回ることはまずない。

そしてフル加速した際のエンジンのレスポンスの良さもすごく、一気に5000rpmまで駆け上がってドライバーをシートに押し付ける加速を見せる。ただ、さすがにだいぶフロントが重いのか、下り坂でのオーバースピードは要注意だ。

唯一試乗車で気になったのが車室内に共鳴する不快な籠り音で、アテンザでもCX-5でも経験しなかったものだった。ただし、これは個体差によるものかもしれない。ほとんど街中だけでの燃費は11.7km/リットルと少々期待外れ。燃費に関してはBMW 『320d』の方が上だった。ただし値段だけを考えれば、アクセラの方がお得である。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★


中村孝仁|AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来36年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。
《中村 孝仁》

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