【レクサス NX 試乗】 300h、輸入SUVユーザーも射程に捉えるプレミアム感…青山尚暉

試乗記 国産車
レクサス・NX 300h
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レクサス『NX』のハイブリッドモデル、「300h」は基本的に『ハリアー』のハイブリッドシステムを使っている。

すなわち、2.5リットルの直4エンジンのスペックである152ps、21.0kgmという最高出力、最大トルクも同じ。システム出力は197psに達する。ただし、こちらは4WDのみのハリアーに対して、2WDも選べるところが特徴だ。

ここで試乗したのは 300h の4WDモデルだが、ガソリン車の 200t 同様、ドライブモードセレクトのダイヤルで「エコ」、「ノーマル」、「スポーツ」、「スポーツ+」を選択可能。ノーマルモードで走りだせば、もちろん出足から強力なモータートルクがアシスト。スルスルと軽々、滑らかに発進する。パワステはセンター付近が締まって安心感の高い設定が好ましい。

動力性能は3.5リットルのV6並みというトルクを持つのだからかなり強力…と想像してしまうが、ノーマルモードでの加速力は意外なほどジェントル。活発さを望むならスポーツモードを選択したい。伸びやかで直線的な加速感は2モーターのハイブリッドらしさでもあるが、全体的にはハリアーよりハイブリッド感は控え目といえる。

もっともエンジンはリミット越えの5500回転プラスまでスムーズに回り切り、ハリアー では得られない快音を響かせる。よりスポーティーなキャラクターである。

安定感は文句なしのレベルにある。山道でも低重心感覚が際立ち、感覚的な姿勢変化最小限。4輪の接地感もまた確実だ。

乗り心地にしてもシャキッとしていながら角が丸められた快適なタッチを示す。 200t でも認められたキツい段差での突き上げ感、やや華奢と表現できるフットワークテイストを別にすれば、特筆に値する静粛性の高さを含め、プレミアムSUVらしい乗り味と言っていいだろう。

ちなみにどのぐらい静かかと言えば、本革シートの運転席/助手席に備わるベンチレーションのファンの音が(最大時)かなり気になるほど…である。これまで同様の装備でここまで気になることはなかったと記憶している。

300h は「Iパッケージ」基準で2WDと4WDの価格差は26万円。サマータイヤを基本とするタイヤチョイスからも分かるように、オンロードメインのクロスオーバーSUVだけに、2WDで十分とも言えるだろう。日常域のよりスッキリしたドライブフィールも2WDを薦めたくなる理由のひとつ。

問題はガソリン車か、ハイブリッド車か? 「 Iパッケージ」の2WD基準だと64万円もの差があり、レクサス初の2リットルターボエンジンの出来がすこぶるいいから、悩ましい。

絶対性能、軽快感なら 200t、さらなる静かさや高級感、エコ性能なら 300h ということになると思う。スポーツ度を求めるなら、走りにコストをかけまくった、意外に乗り心地のいい「Fスポーツ」もある。ちなみに 200t と 300h のモード燃費は2WD比較で12.8km/リットル対21.0km/リットル。結構な差があります…。

それにしても、NX の大型スピンドルグリルの迫力、インパクトったらない。後ろから迫ってくると肝が冷える。日本車の弱点とも言えた個性と存在感のあり方という意味で、好みは分かれるかもしれないが、NX はそれだけで魅力的である(乗り手のファッションセンスも問われそうだ)。

これまでスタイリッシュかつ存在感の強いクロスオーバーSUVは、ほぼ輸入車でしか探せなかったけれど(代表例は『レンジローバー イヴォーグ』)、レクサス NX はまさにそのジャンルの選択肢となりうる。そして女性ユーザーにも受けそうな気がする。NX のような強面でスタイリッシュなSUVは、イケメン、細マッチョな、愛すべきボディガードのようでもあるからだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
ペットフレンドリー度:★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、ドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。

《青山尚暉》

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