【スバル レヴォーグ 試乗】よくできた姉さん女房的な アイサイト Ver.3 と誤後進制御…岩貞るみこ

試乗記 国産車
スバル レヴォーグ 2.0GT-S
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『レヴォーグ』に装着された、「アイサイト Ver.3」について注目したい。他社がレーザーやレーダーで障害物を認識するのに対し、唯一、ステレオカメラを使った性能のよさで勢いに乗るスバルである。

その性能は高く評価され、販売台数にも大きく貢献しているようだ。安全は商売にならないという時代から、一気に風向きを変えた立役者といえよう。

今回は、カメラの画像がカラーになったことで、赤く光る先行車のブレーキランプが認識しやすくなったほか、これまで相対速度差30km/hだった衝突回避可能速度が、50km/hにまで上がっている(雨の日で滑りやすかったり、荷物満載のときなど条件によってはぶつかります!)。

以前、Ver.2のときに、「夜の視認性がねー」とか「も少し速度が上がっても大丈夫なようにねー」と、開発担当者の方が今後の課題を言っていたけれど、それをしっかりクリアしてきたということだ。

そして今回新たに、アクティブレーンキープを採用してきた。アイサイトのカメラが白線を見て、車線中央を走るようハンドルをきってくれるというものである。これがなかなかの「性格のよさ」なのである。

ハンドル操作にドライバーの意思が感じられるときは介入してこないくせに、ふら~っと気を抜いた動きになると即座に、すすっとハンドルを補正してくる。この動き始めが実に素直ででしゃばらず、見事なのである。ならばとハンドルを持つ握力をゆるめて、どのくらい勝手に走り続けてくれるのかを見極めようとすると、すかさずアシストを中止してしまう。「あんたねえ、甘えてんじゃないわよ」と言わんばかりである。すごい。このさじ加減。よくできた姉さん女房みたいだ(深い意味はありません)。

さらに、アイサイトではないものの、後進するときの事故削減に対して推奨したい機能が採用された。

1)後進の最高速度を事前に三段階に設定できる
2)リバースにシフトレバーを入れた状態でペダルをがっつんと踏んでも出力がでない

この2点である。

1)は、時速10、20、30km/hと設定できる。実際にやってみると、後進時に使う速度域は一般的に5km/h程度であり、10km/hも出すとやたら怖い。30km/hも出そうという人は、クルマを輸出する船に載せる凄腕ドライバーか、夜逃げであわてなくてはいけない人くらいではないかと思われる。私なぞ、さっそく10km/hに設定してしまうクチだ。

2)は、同じくシフトレバーをリバースに入れた状態で、がっと思い切りアクセルペダルを踏んでも、「後進でこんなに勢いよくダッシュするわけなかろう」と判断して出力が出ない仕組みだ。じわり…と踏み込んでいけばもちろん速度は出る。でも、がっと勢いよく踏むと出ない。面白いほど出ない。いや、じりじりとは進むのだが、想定していた速度にはまったく至らないのだ。ムキになっていろいろ試してみたが、違いをきちんと判断してくれるのである。

ありがちなリバースでの暴走事故(コンビニに突っ込むとか、立体駐車場から落ちるとか)は、(ペダルを踏み間違える)>(自分が思っていた方向と違うほうに進んであわてる)>(あわててクルマを止めようとして、さらにアクセルペダルを踏み込む(踏みかえられない))>(急加速=ぶつかる)という仕組み。特に、高齢者になればなるほど、違うペダルを踏んでいるという間違いを認識できず、踏みかえる行為に至らない傾向にある。そんななか、このシステムは、非常に有効であるといえる。

いいなあ、レヴォーグの安全システム。今後、早くほかのスバル車にも展開してほしい。

■5つ星評価
オススメ度:★★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材中するほか、最近はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「ハチ公物語」「しっぽをなくしたイルカ」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。最新刊は「法律がわかる!桃太郎こども裁判」(すべて講談社)。

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