【プロに聞くタイヤ選び】燃費、安全、快適性…現状の不満点から考えるベストなタイヤとは

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オートバックスセブン タイヤ・ホイール商品部 タイヤグループ バイヤー下阪竹樹氏(左)と松永なづな氏(右)
  • オートバックスセブン タイヤ・ホイール商品部 タイヤグループ バイヤー下阪竹樹氏(左)と松永なづな氏(右)
  • スーパーオートバックス東京ベイ東雲のタイヤコーナー
  • ラベリング制度によるランク表示がされたシール
  • タイヤの内側にスポンジのような吸音材を張り付けたタイヤも
  • オートバックスセブン タイヤ・ホイール商品部 タイヤグループ バイヤー下阪竹樹氏
  • オートバックスセブン タイヤ・ホイール商品部 タイヤグループ バイヤー 松永なづな氏
  • 様々なタイプのタイヤが揃う(スーパーオートバックス東京ベイ東雲)
  • 様々なタイプのタイヤが揃う(スーパーオートバックス東京ベイ東雲)
車検や劣化・消耗でタイヤを交換するとき、サイズやスペックを調べてじっくり検討するマニアもいるだろうが、多くは「この車に合うもの」「とりあえず安いもの」といった選び方をするのではないだろうか。

もちろん、最近のタイヤは性能がよくなっているので値段やメーカーの名前だけで選ぶのも決して悪い方法ではない。しかし、そのようにして買ったタイヤ、特に値段だけで選んだ場合、その後の満足度に影響することもある。何より安全にもかかわる部品だけにしっかり選びたい。

そこで、タイヤのプロであるオートバックスセブン タイヤ・ホイール商品部 タイヤグループ バイヤー下阪竹樹氏と松永なづな氏に、選び方のポイントを聞いた。


◆ショップでは不満な点を相談する

一口にタイヤといってもサイズ、用途もまちまちであり多種多様な製品が存在するが、外観は「黒くて丸いゴムの部品」。一般の人にはなにがどう違うのか分かりにくい。個別の製品銘柄やサイズの話になると、専門家やマニアでなければ区別もつかないだろう。

そんなときは「今のタイヤの不満や不備を店員などに相談するとよい」(下阪氏)という。タイヤのスペックなど詳しいことがわからない人でも、音や振動、燃費、安定性など車に対する不満や不安は持っているものだ。車検だから、ガソリンスタンドで言われたから、という理由でタイヤを交換することが多いと思うが、そのときただ「今のと同じで」というのではなく、「ここが不満なのだがどうすればいいか」と相談する形で選ぶわけだ。もちろん予算との相談にもなるが、こうすれば投資に見合った満足度の高い買い物をすることができるという。

◆車種別専用タイヤで不満を解消

例えば、ミニバンはいまや3台に1台といわれるほどの人気車種だが、一般的に重量があり車高も高い車は、どうしても走行時のふらつきも大きくなる。乗用車と比較して、高速道路のレーンチェンジや山道などで揺れが大きかったり収まりが悪かったりするのだ。

「ミニバンのふらつきを抑えたい人にはミニバン専用タイヤがおすすめです。専用タイヤは、タイヤ外側のブロックを強くしたり、形を変えて横揺れを抑えたり安定性を高めています。左右のパターンが非対称になっているのですが、他にもサイドウォールというタイヤの側面を強くしてヨレを抑えるなど、ミニバンタイヤならではの工夫がされています」(下阪氏)。

車種別のタイヤでは、女性ユーザーの多い軽自動車用のタイヤもある。特徴である低燃費や小回りが利く機動性を活かす。また軽自動車もミニバンのように車高が高いスーパーハイトワゴンが人気。ミニバン専用タイヤのノウハウを活かした軽自動車用タイヤもある。「女性のユーザーは、コスト意識が高く、どのタイヤがいいのかわからないと値段で選びがちですが、燃費をよくしたいとか長持ちするタイヤといった要望を店頭などで相談してもらえれば、車種に応じた最適なタイヤを選べると思います」(松永氏)とのこと。交換時には店員に相談・検討してみてほしいという。

◆低燃費タイヤのラベリングをチェック

もっと燃費をよくしたい。以前タイヤを変えたら燃費が悪くなった。という悩みを持つ人はいないだろうか。このような場合は、低燃費タイヤがいいだろう。エコブームもありほとんどのメーカーが低燃費タイヤをラインナップしている。

カタログ性能でいえば、低燃費タイヤは同じクラスのタイヤと比較して4~6%ほど燃費が向上するといわれている。「年間1万km走るとして、車の燃費が10km/リットル、ガソリンが150円/リットルの場合、4%の燃費改善は年間で8490円の節約となる。満タン2回分は違う」(下阪氏)ということだ。タイヤの交換目安が3年/30000kmとすると2万円以上の節約となる。

燃費がよくなる秘密は、ゴムの材質とブロックパターンの形状にある。タイヤというのは路面との摩擦によって走ったり止まったりしている。摩擦はそのまま発熱につながり、タイヤのグリップ力にもつながっている。この発熱を抑えるゴムやパターンによって転がり抵抗を下げ、燃費をよくしているのが低燃費タイヤだ。

といってもただ燃費を良くしただけでは「低燃費タイヤ」とは呼べない。転がり抵抗を下げるということはグリップ性能も下げることになる。雨天時などはグリップ性能が重要となるため、単に転がり抵抗だけを下げても危険なだけだ。そこで、転がり抵抗とグリップ性能に一定の基準を設け、既定の範囲内にあるものを「低燃費タイヤ」として、燃費と安全性を両立させている。

その基準はラベリング制度によって決められている。ラベリング制度では、転がり抵抗をAAA、AA、A~Cに、ウェット性能をa~dとグレード分けし、転がり抵抗がAクラス以上、グリップ性能がa~dの範囲の収まっているタイヤを「低燃費タイヤ」と定義している。

ラベリング制度によるランク表示はタイヤといっしょにシールが貼ってあるはずなので、店頭などで確認できるが、下阪氏によれば、低燃費タイヤを選ぶならAc表示以上が目安になるだろうとのこと。ただし、ハイブリッド車などはAAグレード以上を選ばないと燃費が落ちることがあるそうだ。

◆プレミアムタイヤで静粛性をアップ

タイヤの騒音や走行ノイズを抑えたいなら「プレミアムタイヤ」という選択肢がある。輸入車や高級セダンなどで、車内のノイズが気になる、タイヤを変えたらラジオのボリュームを1つ上げないと聞こえなくなった、といった悩みや不満を解消するには、静粛性を考えたプレミアムタイヤがおすすめだという。これらのタイヤは単に静かなだけでなく、乗り心地もよくなる工夫が凝らされている。メーカーによってはタイヤの内側にスポンジのような吸音材を張り付けているものもあり、騒音を抑えるだけでなく、道路の継ぎ目や小さい段差などのショックも吸収してくれるという。

プレミアムタイヤは、大手メーカーのブランド製品も多い。タイヤの選び方として有名ブランドやお気に入りのブランドを指定することもあるが、乗り心地、静粛性、グリップ性能などについて、メーカーごとの特性や特徴がある。その中から自分にとって最適なものを選ぶことになるが、いずれにせよ、ショップや量販店の店員に相談することでさまざまな情報を得ることができる。

◆プライベートブランドタイヤの性能は?

カー用品店などによく行く人はご存じかもしれないが、近年、タイヤメーカーのブランドではなく、ショップや量販店のオリジナルブランドのタイヤを販売している。オートバックスでも「マックスラン エバーロード」というプライベートブランド(PB)タイヤを販売している。

値段が手ごろなのが特徴だが、品質や性能も気になるところだ。せっかくなのでPBタイヤについても聞いてみた。下阪氏によれば、PBタイヤといっても国産メーカーが製造しているので、素材、加工技術、ラインの品質管理は問題ないという。エバーロードも国産メーカーに製造を依頼しており、PBタイヤとしては初の低燃費タイヤのラベリング表示に対応したことが特徴だという。

このように、PBタイヤでは、ショップや量販店ごとに値段や性能に特徴を出している。性能面で納得ができれば、メーカー品の価格帯ラインナップを埋める商品として考えるとよいのではないだろうか。

◆メンテナンスの基本は空気圧チェック

松永氏はバイヤーの前は店頭でタイヤの販売やアドバイザーを担当していた経験もあるそうで、最後にタイヤのメンテナンスや手入れについて聞いた。

「基本は1か月に1回程度のエアチェックを忘れずに行ってください。タイヤのエアは放っておいても減っていきます。チェックは自分でもできますが、ガソリンスタンドでもやってくれすし、オートバックスグループではタイヤ担当の店員がデジタルのエアゲージを持っていますのでそちらで測ることができます。空気圧が低いままで走行すると燃費へ悪影響を与えたり、タイヤのショルダー部や片側だけ減る偏摩耗の問題が出てきます。さらに摩耗が進むと最悪バーストすることもあります」(松永氏)。

では、エアチェックの空気圧はどれくらいに調整すればいいのだろうか。タイヤは車種ごとに使用するタイヤサイズに応じた適正空気圧が設定されている。通常は運転席のドアを開けるとピラー部分に適正空気圧が書かれたシールがあるので、その数値に従うことが原則だという。低すぎれば松永氏がいうように、偏摩耗やバーストの危険の他、操縦性への影響も出るだろう。かといって高すぎても、偏摩耗の原因になるし、縁石などにこすったときのキズが付きやすくなるといった問題もあるそうだ。

タイヤの残り溝の深さも重要なチェックポイントだ。一定の溝の深さのないタイヤは車検が通らないが、そもそも危険である。これも簡単に測れるゲージも市販されているが、店頭でも同様にチェックしてもらえる(前述のデジタルエアゲージには溝を測るゲージもついている)。

パンクその他でタイヤを1輪だけ交換したい場合もあるが、下阪氏によれば4輪同時の交換が理想とのこと。たとえ同じ銘柄のタイヤで交換したとしても、1輪だけ新品というのは車全体のバランスを考えると、決して問題がない状態とはいえないからだ。1輪だけ特性や性能が異なるとブレーキや旋回性能などに影響が出ることがある。とくに4輪駆動車はよほどの事情がない限り4輪同時交換が鉄則だという。

これからは、夏休みシーズンで長距離ドライブも増えてくるだろう。その前にタイヤの状態や不満点など改めてチェックしてみてほしい。
《中尾真二》

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