人とくるまのテクノロジー展2014(横浜、5月20~23日)で三菱電機は、2013年秋に発表された3モータ式パーシャル4WD電気自動車のコンセプトモデル『xEV』を公開。前輪には1個、後輪は左右を独立駆動タイプのモータ2個を組む独自構成のメリットを紹介した。
xEVは、前輪にはセンターに1個、後輪は左右独立して駆動できる2個のモータが組み込まれ、最大出力 125kWを発揮。リアのモータは空冷インバータ一体型、フロントのモータは独立させ、その脇にDC/DCコンバータ内臓充電器が備わる。
「操舵系や冷却系のパーツも組まれるフロントには、モータを1個とし他パーツのためのスペースを確保。リアのモータを水冷ではなく空冷にする理由は、構造の単純化や軽量化のため。リアを水冷にすると、フロント側から水冷用のパイプを通したり、ウォータポンプが必要となってくる」と担当者は話す。
また、DC/DCコンバータについて「電池からの直流(DC)を、異なる電圧の直流に変えるため。300Vや400Vといった電池の高電圧から、車内の(オーディオなどの)電装用12Vに“下ろす”ために必要」とも話していた。
このコンセプトモデルに採用されているモータ『xEVモータ』は、「各社のハイブリッド車や電気自動車などに早く、スムーズに組み込まれるよう、自由度の高い構成にした」(担当者)という。
「例えば、軸長やサイズが変わっても、コイル巻線の個数などを増減させるだけで、バラエティにモーターがつくれますよとアピールしたい。モータ基本構造を標準化設計とし、設備償却を軽くできるというメリットもある」(担当者)
こうしたHV・EV向けモータなどの開発は、兵庫県姫路市にある同社姫路製作所で行われる。「ちなみに、三菱電機のモータというと鉄道向けなどで知られているかもしれないが、あちらは伊丹製作所でつくられている。今後も各地の製作所と情報を共有し、新たな技術でアピールしていきたい」と同社担当者は話していた。