三菱重工と言えば、戦車や大型船舶まで手がける、三菱グループの中でも中核と言える企業だ。「人とくるまのテクノロジー展」では、自動車関連の技術展示を行っていたが、そのブースの中心にあったのはターボチャージャー。クリーンディーゼルやダウンサイジングエンジンなどで、ターボへの注目が集まっているが、三菱重工はターボチャージャーの世界シェアでも3本の指に入ると言われる企業でもある。
軽自動車用の超小型タービンやディーゼル用の可変容量タービンなどに混じって、ちょっと違った形の過給器を発見。何と電動タービンの試作品だ。電動なのでタービンではなく、正確には電動コンプレッサー。ターボのコンプレッサー側を利用して、排気タービンの代わりにモーターで直接コンプレッサーを駆動するものだ。
モーター側をアルミ板で覆っているところなど、手作り感が感じられるのは試作品ならでは。1.2リットルエンジン用にしてはサイズが大きいと感じたが、ターボと比べると回転数を抑えるために大型化しているのだろう。低速域からのブーストの立ち上がりや風量がどれほどなのか、気になるところだが試作品とあって詳しい話は聞けなかった。
かつて海外のベンチャーが排気タービンで発電し、その電力で遠心式コンプレッサーを回すシステムを提案していた。ターボチャージャーと比べてレイアウトの自由度は高いが、それ以外のメリットを生み出せなければ、実用化は難しい。今後の研究開発に期待したいところだ。