【MINI クーパー 試乗】音と光が演出効果を盛り上げる楽しい走りの空間…中村孝仁

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新型MINI『クーパー』のエンジンは3気筒ターボになった。本来はそのあたりを解説しなくてはいけないのだが、それよりも先に、新しいMINIは音と光の演出効果が上手かったのでその話をしよう。

MINIは先代でも音による演出をしていた。それはリバースに入れた時に独特な「トテトテ」と聞こえるサウンドを発生させていたのだが、今回のモデルではさらに加えて色々な音、そして光によって、ドライバーに注意喚起をする秘密が隠されている。

まず音。これは従来通りリバースに入れた時の「トテトテ」音が、エンジンをかけた時にも3回ほどなる。さらにパーキングアシストは障害物が近づくにつれて、注意喚起のサウンドがいろいろに変化する。これに加えて中央の巨大円形インストルメントパネル周囲はMINIエキサイトメントパッケージを装備することで、色々なLED照明が点灯し、同時にそれは注意喚起にもなっている。前述したパーキングアシストでは最終的に危険になると音がピー音に変わり、同時にこのLEDも赤表示になるといった具合だ。こうした演出は女性には大変好評のようで、これを見せた女性はすべて気に入った様子だった。

ボディは全体的に一回り拡大した3835×1725×1430mm。サイズは大きくなったけれど、相変わらずラゲッジスペースは最小限。居住空間はそれなりだけどパッケージとしてはほどほどである。勿論高い安全装備を持ったうえでということで、軽自動車とは比較はできないが、居住空間としては負ける。変わった点は多々ある。例えば、パワーウィンドーのスイッチの位置。スピードメーターの位置、キーデザイン等々。すべては普通に、そして最新鋭になった。中でも巨大なセンターメーターを周遊していたスピードメーターが、ドライバーの眼前にタコメーターともども配置されたのは、普通になったとはいえ、見やすく現実的になった。

さて、新しい3気筒の話をしよう。このエンジン、基本的には最新鋭のハイブリッドスポーツ、『i8』に搭載されるエンジンと同じものだ。例によってツインパワーターボと名付けられたそれは、もし3気筒というレイアウトに危惧を持つ人がいるとすれば、性能面に関する限り全くに杞憂であることをお伝えする。もっとも、少し頼りない音だけはどうしようもないが。トランスミッションは今回マニュアル6速を試乗したが、やはり感じるのは最早マニュアルを楽しんで乗る環境がほとんどなくなったということで、ATの進歩とDCTなどの代替ミッションが登場したことで、ほとんど役目を終えた印象すらあった。

面白かったのはMINIドライビングモードという走行モード選択機能で、スポーツ、ミッド、グリーンという3つのモードで、異なったフィーリングを体験できるところ。ミッドはノーマルで、グリーンはBMW的にはエコプロに相当する。エンジンのマッピングやステアリングのアシスト量、そして恐らくはATのプログラムを変えると思われるこれ、とりわけスポーツに入れると、その性格はまさにこのクルマが訴求するゴーカート感覚に変身し、これなら『クーパーS』いらないじゃん? というレベルの走りを披露する。

アクティブクルーズコントロールも用意されて、30km/hまで自動的に加減速してくれるのだが、マニュアルミッション車には猫に小判であった。何故ならシフトはしてくれないから…。

以上、なかなか楽しいクルマに仕上がっていて、お値段266万円。ところが上述した楽しいアイテムのほとんどはオプションで、今回の試乗車の場合、オプション価格合計で実に116万4000円。つまり総価格382万4000円の大層なクルマになってしまうから、オプションの取捨選択が悩みどころになる。

パッケージング ★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁|AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来36年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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